「厳選して購入しエージングもしたのに、スピーカーから出る低音がボワ付つく」
「スピーカーを買って部屋に設置したら、予想と違って低音が強すぎる」
「気に入って愛用しているスピーカーだが、どうも最近低音がひずむ」
そんなオーディオスピーカーの低音で悩む、初心オーディオファンの方が多いようです。
「通販サイトを見たら口コミは良かったし、オーディオショップで聴いた時も、低音がもっとキレイに締まっていたはず。」
「なのに自宅に設置したら、随分印象が違うのはなぜなんだろう?」
このようなコトって、実は意外にあることなんですね。
リスナーによってこれらの感じ方は違うので、完璧な改善方法はありませんが、少しでも狙った音に再生できる低音の改善のしかたはあります。
今回は、それをお伝えしようと思います。
まずは音源の質を疑ってみる!あなたは正しい耳を持っていますか?
あなたはオーディオにおいて、正しい音を聴き分ける耳を持っていますか?
オーディオコンポを購入するに当たり、こんな音のする機器(今回はスピーカー)がほしいと言うのを、描いていたかどうかが1つのポイントです。
「部屋で聴くコンポの音がどうもおかしい。生のベースの音はこんな風ではないはず。」と思ったら、耳をこらして音源を疑ってみましょう。
再生される音が悪いと感じるのは、実はその音源の “質” が良くないためなのかも知れません。
一般的にCDにしろレコードにしろ、どちらも新譜であるほど音が良く、原音に近いものが多いのですが、新しい割に薄っぺらくて音の悪いアルバムも存在します。
低音の出方に悩んだら、まずは、できるだけ音が良いと言われるアルバムを再生してみましょう。
でも、やっぱり気に入った音で再生されないようなら、一度、家族や友人など、どなたか音の違いが分かる方に聴いてもらってみて下さい。
もし「なかなか良い音じゃないの?」と言われてしまったら、あなたの音に対する認識が厳しいか間違っている可能性があります。
いやいや、それでは納得がいかないようなら、思い切って別の機種に買い替えてみましょう!と言いたいところですが、ちょっと待って下さい。
大枚を使い果たす前に、現在のスピーカーの鳴らし方を工夫してみましょう。
これがもし上手くいったら、あまりお金を掛けずに、あなたが好む低音を手に入れられるかも知れませんよ。
スピーカーの設置のしかたで大きく低音が変わる
もしかしてあなたは、スピーカーを棚やデスクトップに、ポンと直置きしてはいないでしょうか。
まさかと思いますが、ブックシェルフ型モデルを、部屋の “床” にそのまま置いてなんかいませんよね?
もしもこのような置き方をしているようなら、低音の量感は感じてもボワボワしたりするものです。
良く言われることですが、まずはとにかく、スピーカーの下にはインシュレーターを置きましょう。
インシュレーターと言っても、高価なものを購入する必要はないです。
ホームセンターや100円ショップにあるような、金属や木・ゴムなどの敷ものでも良いので、スピーカーの下に入れてみましょう。
これだけでもウーファーから出る振動を下の反射から減らせるので、ボワつきを少なくすることができますよ。
用意するのが面倒なら、試しに10円玉を使ってみて下さい。
10円玉を3枚ほど両面テープで重ね、それをスピーカー1台あたり3個~4個使い、底面の四隅に置きましょう。
3個にする場合は前に2個、後ろに1個、三角形を作るように置きます。
そして左右のスピーカーをやや内側に、自分に向けて傾けましょう。
これだけで、低音の締りが違ってくると思います。
私は自分のスピーカーには、付属のゴムインシュレーターの下に10円玉2枚重ねたものを敷いて、低音の抜けと締りが向上したのを確認しました。
10円玉を使った結果音が硬くなったと感じたら、別の材質に変えることで柔らかい音にできますよ。
インシュレーターの高さは、一般に2㎝~3㎝ほどあれば足ります。
効果を確認後に予算があるようなら、本格的なインシュレーターを購入してみると良いでしょう。
●詳しくはこちらのページへ ⇒ 『スピーカーインシュレーター』置き方とその効果
ブックシェルフ型だけでなく床に設置するフロア型に使っても、インシュレーターの効果はあります。
また部屋のレイアウトの都合上、ブックシェルフ型を床に置かなければならないのなら、スピーカー台を用意してその上にスピーカーを載せて下さい。
スピーカー台も色々なもので代用でき、ちなみに私は以前、コンクリートブロックをスピーカー1台に付き4個積み重ねて使っていました。
効果と見映えを考えるなら費用が掛かりますが、メーカー製のスピーカー台を使うと良いと思います。
スピーカー台は椅子に座り、ツイーターが耳の位置に揃う程度の高さのものが良いです。
スピーカー台を使うと低音の量感を抑えるばかりでなく、高音の聞こえ方の改善にもつながるのでおすすめです。
場合によってはスピーカーとスピーカー台の間に、インシュレーターをはさむとより効果的です。
ただしスピーカーが倒れやすくなるので、薄くて柔らかいゴム系のものを使うと良いでしょう。
●詳しくはこちらのページへ ⇒ 『スピーカースタンド効果』
スピーカーを置く位置を変えることでも低音は変化する
さて、スピーカーインシュレーターやスピーカー台を使うことは、低音を改善するのにとても効果的なのですが、それだけでは十分とは言えない場合があります。
次に行いたいのが、スピーカーを置く位置です。
現在あなたが置いているスピーカーは、背面が壁に近付きすぎてはいませんか?
スピーカーの低音エネルギーは、前面だけなく背面にも回り込んで壁に当たります。
あまり壁に近いと、壁に反射したエネルギーが強すぎて、低音のボワつき・出すぎが起こってしまうのです。
スピーカーは極小サイズでない限り、壁から10㎝ほど離しましょう。
特に背面にバスレフポートのあるモデルは、ここからも低音エネルギーが放射されるので、より気を使うべきです。
これである程度、低音のボワつきや出すぎが少なくなるはずですが、それでも思ったほど効果がみられない場合や、部屋の都合で壁から離すことができない場合もあるでしょう。
そんな場合バスレフ型モデルには、バスレフポートに詰めものをすると良いです。
上の写真のように前面にポートがあるタイプにも、詰めものは有効です。(見映えが少し悪くなりますが・・・)
詰めものは柔らかいものなら何でも良いですが、私の経験上、布切れよりもスポンジの方が効果が高いと思います。
スポンジをポートにスッポリ入れてしまうと、密閉型モデルのような低音の締まりが実感できますよ。
ただし場合によっては、低音不足が生じることもあるので、注意して詰め込む量を加減しましょう。
その他、壁側にレースのカーテンを掛けて、壁からのエネルギー反射を抑える方法も効果的です。
●詳しくはこちらのページへ ⇒ 「オーディオスピーカーの出過ぎる低音を抑える方法」
スピーカーケーブルにもこだわって低音の出すぎやひずみを抑えよう
スピーカーの低音が出すぎて困った時、出すぎを抑える別の方法をお伝えしましょう。
それは、もし現在使っているスピーカーケーブルが太めのものだったら、あえて細めのものに交換することです。
一般論として細いケーブルよりも、太いケーブルの方が信号伝達率が高く、一度に多くの信号を送ることができます。
これはスピーカーケーブルでも同じことが言え、太いものを使うことで、スピーカーからは多くの量の低音を出すことが可能です。
なので太いケーブルを使っているのなら、細いケーブルに交換すれば、やや低音の量を減らせると言う訳なんですね。
それともう1つ、アンプとスピーカーをバイワイヤリング接続すると、これもまた音に変化をもたらします。
アンプ側にスピーカー出力が2系統あり、受け手のスピーカーにも入力端子が2系統あれば、低音と高音の伝送を別々にできるため、バイワイヤリング接続することが可能です。
オーディオファンの中には、バイワイヤリングすると低音の量感が増すと言う人がいますが、それは違うと思います。
低音と高音の伝送を分けることで、音をにごらせる “逆起電力” を減らせます。
これには低音のひずみを抑える効果があり、同時に低音に締りが出て、結果、低音の量が減ったように聞こえるのです。
一方、バイワイヤリングは高音のひずみも減らすので、それまでよりハイハットなどがクリアになります。
実際に私のコンポでも試して、効果を実感できたのでおすすめですよ。
●詳しくはこちらのページへ ⇒ 「バイワイヤリングは効果ない?」
低音が出すぎるのは機器の特性が原因かも?
以上の方法でも、ボワつきや低音の出すぎを抑えられないなら、もしかしたら原因は機器の特性にあるのかも知れません。
スピーカーにしろアンプにしろ、低音重視の味付けをしているモデルを使っているとしたら、あなたは低音過多のコンポと受け止めてしまうでしょう。
これはアンプにトーンコントロールがあれば、バス側のツマミで低音を抑えることが可能ですが、それがないモデルだとどうしようもありません。
プリアウト端子とプリイン端子があるプリメインアンプなら、この間にイコライザーを介して低音を抑えられますが、音質を低下させるのであまりおすすめできません。
こんな場合は仕方がないので、このような音のコンポだと割り切るか、最後に思い切って機器を買い替えてしまうのが良いかも知れません。
私の好みでは、低音重視のコンポは好きなので一向に気にならないですが、オーディオは趣味なので我慢ができないあなたもいることでしょうね。
まとめ
オーディオほど好き嫌いが分かれる、奥の深い趣味はないと思います。
Aさんが不満に思って好きになれない音が、Bさんに取っては好きな音になることもあり得えます。
つまりオーディオの世界と言うものは、正しい音を追求するものではなくて、自分の好きな音を探し求める行為なのです。
原音に近寄った正しい音と言うのは、人によって捉え方が違うので、これが正解と結論できる根拠など本当はありません。
なのであなたのコンポの低音が、ボワつく・出すぎる・ひずむと悩んでも、極論するとそれは主観的なことであり、必ずしも他の人の同意が得られるものとは限らないのです。
しかし、あなたが音に不満を抱き続ける限り、オーディオの泥沼から這い上がることはできないでしょう。
少しでも這い上がれるよう、今回私が述べた方法で、あなたの低音に対する不満が解消できたら幸いです。
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