ここ数年のオーディオメーカーが販売する機種を見ると、全体的に製品のラインナップを少なくする傾向が見られます。
アンプ1つを取っても、エントリーモデルとハイエンドモデルのみとし、売れ筋であるAVアンプ2機種ほどでその間を埋める感じです。
一般的にAVアンプは2chアンプと比べ、機能が非常に多く製造コストが掛かるので、販売価格も高くなる傾向にあります。
ところが新しいモデルを見るとそうとも言えない、コストパフォーマンスの高いものが登場するようになりました。
そんなAVアンプの1つに「SONY STR-DH790」があります。
7.1chホームシアター用アンプでありながら、ミドルクラス2chアンプ並みの価格設定がなされているのです。
FMチューナー内蔵のレシーバーとしながら、ハイレゾやBluetoothも可能なSTR-DH790を、今回ユーザーレビューを参考に魅力を追ってみようと思います。
SONY STR-DH790が持つ機能とその特徴
まずはこちらの動画で、STR-DH790の開封の様子をご覧いただきましょう。
これを見れば、おおよその商品イメージが湧いてくると思います。
協力 Incomod Tutorialsさん
本機は、7.1chホームシアターが構築できるAVアンプ。
フロントパネルはスッキリとしていますが、リアパネルを見ると入出力端子やスピーカー端子などが所狭しと並ぶ、いかにもAVアンプらしいレイアウトです。
ところが本機を良く見ると、同じソニーの2chオーディオアンプSTR-DH190とデザインと大きさがほぼ同じ。
いままでAVアンプは2chアンプと比較して、幅こそ430㎜と同じでも高さは随分あり、見た目に大きく感じられたものです。
パッと見てAVアンプと思えない小型サイズとしたことに、SONYのノウハウを感じますね。
さて、AVアンプとして本機の音場再生に関する大きな特徴は、最新の音声フォーマットである「Dolby Atmos」と「DTS:X」に対応していることです。
これは音質云々のことではなく、サラウンドの音場を左右だけでなく上下にまで対応させた、3Dサラウンドで音が楽しめると言うもの。
最近の新しい映画ソフトの効果音は、これまでと違い左右上下にぐるぐる回ることで、本機ならよりリアルに鑑賞できると言う訳なんです。
Dolby AtmosとDTS:Xは、開発元が違うので名称が異なりますが、どちらも同じような効果が得られるものと理解して良いでしょう。
また、ホームシアターは多数のスピーカーを使うので、上手く音場再生を行うための音場補正をしないといけません。
それを自動的にわずか30秒で行う、「アドバンストD.C.A.C.」機能を搭載。
加えて、使用するスピーカーを全て同じ銘柄で揃えられない場合、音のつながりが悪くなってしまうことがあります。
それを「A.P.M.」機能により全てのチャンネルに、同じスピーカーを使っているかのようなつながりを実現することが可能です。
さらに、1度にたくさんのスピーカーを揃えることができず、多チャンネルでの再生が不可能な場合を考慮して、2本のスピーカーだけでバーチャルサラウンドが楽しめる「S-Force PROフロントサラウンド」も搭載。
ユーザーが住む環境や予算の関係で、いきなり多チャンネルホームシアターができないのなら、威力を発揮する機能ですよ。
その他、新しい4Kコンテンツを楽しめる仕様にもなっているなど、一言二言では語りつ尽くせない、新しい音を楽しめるAVアンプとなっています。
アンプの出力はフロントスピーカー用が145W+145W(6Ω)で、センタースピーカー用が145W(6Ω)、サラウンドスピーカー用が145W+145W(6Ω)です。
そして、サラウンドバックスピーカーなどに使えるアンプ出力が、145W+145W(6Ω)となっています。
このアンプ出力はサラウンドバック用以外にも、別の部屋でスピーカーを鳴らしたり天井に付けたスピーカー用にも使えるのですが、私は別の用途で使うことに注目しています。
それは、バイアンプとして使うこと。
フロントスピーカーがバイワイヤリング仕様のものなら、低音と高音を別々のアンプで駆動させる接続が可能なんです。
こうすることでスピーカーへ送る音声信号を、スムーズに流すのを妨げる逆起電力から防ぐことができるのです。
つまり、音質を向上させられると言うことですね。
ホームシアターにあまり興味のないユーザーでも、AVアンプをこんな風に利用することができるんですよ。
詳しくは「バイアンプの効果とは?」ページをご覧下さい。
なお、使用可能なスピーカーのインピーダンスは、6Ω~16Ω。
4Ωスピーカーは、大きなパワーを与えると故障する危険があるので、使用しない方が良いと思います。
AVアンプとして必須のHDMI端子は4系統あり、テレビのリモコンで本機の電源やボリュームを操作できる、eARC対応HDMI端子が1系統あります。
テレビ側のHDMI端子もeARCに対応していることで、本機の電源やボリュームに限らずDolby AtmosやDTS:Xを使った、3Dサラウンド映画が楽しめるようになりますよ。
また、光デジタルと同軸デジタル入力端子が1系統ずつ、アナログ入力端子を4系統装備。
残念ながら、USBを使った音声入力には対応していません。
その代わりBluetoothを内蔵しているので、ワイヤレスでスマホの音源を再生することが可能です。
その他、本機はFMチューナーを搭載。
ワイドFMなので、一部のAM放送も受信できます。
さて細かいことはここまでにして、次に、本機の実際の音質や使い勝手はどんなものでしょうか?
すでに愛用しているユーザーの皆さんのレビューで、確かめてみることにしましょう。
SONY STR-DH790のユーザーレビュー
★「オーディオ初心者だが、スピーカーをYAMAHAのBP200につないでとても良い音で聴かせてもらっている。スピーカーのドライブ力が十分にあり、明瞭で迫力ある音が楽しめる。映画・音楽を問わず、幅広いジャンルで活躍できるAVアンプだと思う。」
★「操作性は必要十分。操作性は恐らく音質へのこだわりが出てから感じるところかもしれないが、現状満足だ。音質はUHDのプレイリストショーマン、ブルーレイのライブで確認する限り素晴らしい。サラウンドバックの音が小さく感じるのは設定次第なのか、これで良いかは分からないが、安いスピーカーでも非常に奇麗な音が出ている。パワーは十分。音漏れが少ない住宅なので結構なボリュームで使用しているが、問題ない。スマホからインターネットラジオ等を繋ぐとき、繋いだ瞬間に電源が入る。その状態でテレビをつけると、音声はテレビ優先で接続し直してくれる。当たり前の機能が、当たり前に便利だ。」
★「各入力の音量調節ができない。これは使い勝手がかなり悪いと思う。FMアンテナの入力端子もF型でなく簡易型だ。リモコンやサラウンドスピーカー端子が安っぽい。メニューも使いづらい。全体的に安っぽい作りだ。」
★「入力方式がHDMI・Bluetooth・RCA・光ケーブル・同軸ケーブルと多い上に、サラウンドエフェクトが豊富で、かつ、音場調節も自動でこの値段で収まっているのはビックリした。リモコンの感度も良く、買って良かったなとは思っている。だがPCからの画面出力でこいつを通すとたまに画面がガタつくので、そこら辺は残念かな。」
SONY STR-DH790の評価
ここからは上記の情報を基にして、私がSTR-DH790の評価をしたいと思います。
本機は、他のAVアンプと比べ高さが低いことで小さく見え、一見、普通の2chオーディオアンプのように見えます。
フロントパネルがスッキリしていることでもAVアンプに思えないのですが、リアパネルを見れば端子がぎっしり並んでいることで、それだと分かるんですね。
機能が多いことでAVアンプは10万円程するものなのに、本機はわずか4万円そこそこで手に入ります。
コストパフォーマンスが高く、誉められる点が多いのは事実だと思います。
ただ細かい点を見ると、コストダウンの犠牲になっている部分があるのも否めません。
出典:AVAC
私が一番気になったのは、フロントメインスピーカー端子がバナナプラグ対応なのに、その他は簡素なプッシュ式になっていることです。
たかがスピーカー端子とは言え、全ての端子を使いやすいバナナプラグ対応にして欲しかったと、つくづく思います。
いくら安くするためでも、メインスピーカーだけバナナプラグ対応と言うのは、ユーザーからすれば不満が残りますからね。
それでもデザインは良いし入力端子も多く、ユーザーの好みのホームシアターが構築できる点は、大いに評価すべきでしょう。
使用するスピーカーをユーザーの好みで自由に選べるのが、オーディオの面白いところですが、ホームシアターを構築するならスピーカーは同じシリーズで揃えるのが無難。
ですが、現実的にそれを実現するのは、難しいことかも知れませんね。
それをA.R.M.機能で、全スピーカーを同じ銘柄で揃えたような音場空間を再現できたのは、さすがSONYの技術と言えるでしょう。
音質はベースのしっかりしたバランスの良い音で、オーディオ専用アンプとしても、十分聴き応えのある音を再現します。
AVアンプは、配線がどうしてもゴチャゴチャする傾向にありますが、映画や音楽ソフトに臨場感を求めるユーザーなら、おすすめの1台であることは確かでしょうね。
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