昔と違いオーディオはデジタル化が進んだことで、今はネットオーディオが主体となっています。
なのでレコードプレーヤーやCDプレーヤーは、主役の座から下りてしまったような存在ですが、じっくり聴き入るとなるとやはりレコードやCDは良いものです。
手軽な操作でディスクを再生できる据え置き型のCDプレーヤーは、今でも根強い需要がありますね。
その中で基本をガッチリ抑えた製品を作り続けるメーカーから、また優れたモデルが登場しました
それは「デノン DCD-600NE」です。
約20年ロングセラーを続けた旧シリーズを、新しい品番で刷新したのが本機です。
今回はこのデノン DCD-600NEをユーザーレビューを基に、上級機DCD-800NEと比較しながら魅力を探り評価してみようと思います。
旧製品と比較してデノン DCD-600NEの特徴を並べると?
DCD-600NEの旧型機にDCD-755RESPがありました。
エントリーモデルながら機能が豊富で、今回の600NEと違いヘッドホン端子やUSB端子があったりで、これだけで見れば本機の方が見劣りします。
ですが本機は一から見直して、よりCDプレーヤーとして性能を高め、音質を向上を狙った設計になっています。
それが例えば、AL32 Processingと呼ばれるアナログ波形技術と、192kHz/32bit対応DACの搭載に表れているんです。
直接的に音質には寄与しない機能の一部を省略し、その分デジタル/アナログ回路にコストを費やしたものに変更されている訳ですね。
他に重要な部分の改良として、CDやスピーカーからの振動をより強力に抑えるボディ構造へと改良されています。
それまでの便利な機能は、できるだけアンプやネットワークプレーヤーに任せて、本機はCD再生の性能向上に集中したモデルと言えるでしょう。
さらにユーザーのニーズに応える設計になっているのです。
デノン DCD-600NEと上級機DCD-800NEとの違いとは?
デノン DCD-800NE
冒頭に述べたように、DCD-600NEには同じラインナップでDCD-800NEがあります。
このDCD-800NEは上級機と言ってはいるものの、実は価格が定価でわずか7700円(税込)本機より高いだけ。
そんな両機にはどんな違いがあるのでしょうか?
大きさは同じで、フロントパネルのデザインもほぼ同じ。
違うのは、電源スイッチの下にUSB端子が800NEにはあります。
これはただUSBメモリーに入れたMP3などの一般の音源だけでなく、DSDファイルや192kHz/124bitまでのハイレゾ音源も入力できるんです。
600NEはこれには対応していません。
またリアパネルを見てみるとデジタル入力端子が、800NEは同軸と光で1系統ずつあるのに対し600NEは光1系統のみです。
再生回路の中枢部を見ても800NEは、アナログ波形技術がより高いAL32 Processing Plusを搭載。
600NEはこの “Plus” がありませんからね。
さらに、上級機に採用されているPCM1795高性能DACを800NEにも搭載しています。
ここでも、600NEは1ランク抑えられたものになっているんです。
しかし違いはこの程度止まり。
価格に大きな開きがないことで、機能・性能とも決定的な違いは見い出せません。
大ざっぱに違いを述べれば、800NEはCDだけでなくハイレゾ音源にも対応するのに対し、600NEはCD再生に特化したモデルと解釈できるでしょう。
音質的には両機ともデノンらしく中低域に重心を置いたもので、ハイレゾ以外の音質は似た傾向にあると言えそうです。
では続いて、本機DCD-600NEの実際の音質や使い勝手はどんなものでしょうか?
次の頁で、すでに愛用中のユーザーの皆さんのレビューより確かめてみましょう。
デノン DCD-600NEのユーザーレビュー
★「保有機DCD-755SEも12年が経過、そろそろ何時寿命が来てもおかしくない年数となり、最新機種はどのようなものか聴いてみた。アナログ接続で聴いた感想は、やはりほとんど変わらないなあ・・・が正直な所。CD盤そのものの規格やフォーマットに変化が無いので、DACチップの進化と言われても影響は受けて無さそう。良く言うと “普通”、誇張や変なクセも無く聴きやすい。まあ上級機に比べれば解像と言うか、薄いベールが一枚被っているところは致し方ない。その辺りは価格との相談だろう。」
★「デノンは今まで数多くのCD SACDプレイヤーを発売されているが、なんと言ってもこれ程コスパの高い商品に出会った事はない。この価格帯にありがちなデジタル臭、中高域におけるチャラつきをあまり感じさせない安定感有る演奏が楽しめる。低域においてもキリッとした斬り込みの良い音声でJポップなど心地良く奏でてくれる。デザイン的に安っぽくなくシッカリとまとめられている。機能的にも使い易く申し分ない。この機種はアンプへの接続コードをグレードアップすると、更に音質アップ出来る。その差の出やすい機種だ。」
★「SONY CDP-950からの切り替え。音質的にはDレンジが広がったかな?位しか感じない。SONYの情報量が多いディスプレイから、1行表示のディスプレイになったので使いづらい。しかしこのディスプレイ、文字が暗い暗すぎる・・・明るさを4段階で調整できるが、MAXにしても暗い・・・部屋を暗~くすれば何とか見えるレベル。」
★「このクラスのCDプレイヤーはいろいろと機能を広げて、肝心の音質でないところに力が入っている製品が多い。本品は音質に力を入れて、音楽愛好家の意向に即している。特に高音の冴えに良い点をあげたい。」
デノン DCD-600NEの評価
ここから以上の情報を踏まえた上で、私がDCD-600NEを評価してみたいと思います。
これまではCDプレーヤーもエントリーモデルであっても、可能な限り色んな機能を搭載することで、商品としての魅力を高めていました。
ただ時代の流れは部屋でじっくり音を聴き込むことより、気軽にどこででも楽しむ方向へ変化しています。
一時音楽ソースを手に入れる方法として、曲の切り売りダウンロード購入が主流となって、アルバムでしか購入できないCDの人気が下がって行きました。
そして現在の主流はネットラジオのように、曲をエンドレスに流すストリーミングで楽しむ方向へ移りつつあります。
CDプレーヤーがこれからも生き残るには、あまり必要とされない機能を省き本体をコストダウンするか、再生能力をより向上させる方法しかないと思います。
その結果、本機は無理にコストダウンするのではなく、再生能力を向上させる方へシフトしました。
デノンの特徴である、中低音に重心を置いたこれまでのサウンドを保ちつつ、より高音の解像度を高めた音質になっています。
この傾向はアンプとの接続をアナログではなく、デジタル接続した場合により顕著になるようです。
これは上級のDCD-800NEも同じ傾向であり、本機との音質の違いを容易に述べるには少々難しいと思います。
ただ800NEは、USBメモリーを使ってハイレゾ音源を入力することができ、より高音質なデジタルサウンドを楽しむことが可能です。
どうしてもハイレゾにこだわるなら800NEを選ぶべきですが、しかし、あくまでCDだけ高音質に聴ければ良いなら600NEを選んでも十分でしょう。
そしてDCD-600NEの使い勝手を向上させるためにも、ペアを組むアンプは、同じデノンのPMA-600NEがベストと言えそうです。
両機でペアを組めば電源のON/OFFを含め、1つのリモコンで動作を集中コントロールできるので、とても便利なんですね。
音質から見ても、同じメーカーの製品であるだけに相性は良く、おすすめできます。
そしてもし両機でペアを組むのなら、ぜひデジタルで接続すると、より良い音質で楽しめることでしょう。
他のメーカーのアンプと組むにしても、中低音の迫力を重視したサウンドでまとめたいのなら、DCD-600NEを選んでも間違いではないと思います。
普段はネット音源を主として聴いていても、時にはじっくりCDのサウンドを味わいたいユーザーなら、注目すべきCDプレーヤーと言えるのではないでしょうか。
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