現代の音楽の聴き方は、スマートフォンでのストリーミング再生や、ハイレゾ音源のダウンロードなど、デジタル技術の進化に支えられています。
手軽で便利だし、しかも高音質です。
そんなデジタル全盛の時代に、再び脚光を浴びているのが「アナログレコード」なのをあなたもご存じでしょう。
一見すると懐古的だし非効率に思えてしまうレコードですが、実は今、若い世代を中心に愛好者が増えているのです。
では今さら、なぜ人々は、わざわざレコードを選ぶ傾向にあるのでしょうか?
今回は、アナログレコードの音質と感動に焦点をあて、オーディオファンの目線でその魅力を語ってみようと思います。
アナログ音源ならではの温かみある音とは?
アナログレコード最大の魅力として語られるのが、その「音の質感」です。
デジタル音源は、音を数値化して処理し再生します。
一方、アナログレコードは、音の波形そのものを物理的に記録して再現する仕組みになっています。
このため、アナログレコードの持つ独特な歪みやノイズが生じますが、それが逆に「温かみ」や「空気感」として聞こえることがあります。
なぜか楽器の音がより自然に感じられ、ボーカルの声もどこか生々しく、人間味を感じさせるんですね。
たとえば、ジャズやクラシックのようなジャンルでは、演奏のダイナミックスや微細なニュアンスがアナログで再生された時、より豊かに伝わって来るもの。
まるで目の前で演奏が行われているような臨場感に、多くの人が魅了されるんです。
次の頁でも述べますが、これはただ音楽を聞き流すだけでは分かりにくいものが、スピーカーの前で少し距離をおいてじっくり聴き入ることで、感じることができるんですよ。
音楽を聴くと言う体験そのものが心を豊かにする
CDやストリーミングでは、曲を選んで即座に再生するという手軽さがメリットであり、魅力となっています。
しかしそれゆえに、音楽が「背景音」になってしまうこともしばしばでしょう。
家事の合間に流していたり、通勤電車の中でBGMとして聴いていたりする中で、音楽そのものに集中する機会は意外と少ないものです。
その点アナログレコードは、音の再生に手間がかかります。
プレイヤーにレコードをセットし、針を落とし、A面の演奏が終わったら手でひっくり返しB面を聴く・・・。
この一連の動作が、「音楽を聴く」と言う行為を特別な時間に変えてくれるのです。
さらに、アルバム単位で音楽を楽しむスタイルが、レコードではより自然になります。
1曲ずつスキップするよりも、アーティストが意図した曲順で、作品全体として音楽を味わうことが当たり前です。
この「作品に向き合う感覚」こそ心を豊かにして、レコードで音楽を聴くことの醍醐味となるのではないでしょうか?
さらに、レコードプレーヤーのカートリッジを交換することで、同じ曲を違った音質で楽しめることも、ストリーミング等では味わえないレコードの魅力と言えますね。
ジャケットアートとともに楽しむアナログの世界観
レコードのもうひとつの魅力は、ジャケットアートの存在です。
30cm四方の大判ジャケットには、写真やイラスト・アーティストのコンセプトが凝縮されており、これがまさに「視覚で味わう音楽」とも言えます。
CDやデジタル配信ではサムネイル程度に縮小されてしまうアートワークも、レコードでは作品としての存在感を味わえます。
お気に入りのジャケットを部屋に飾ったり、手に取って眺めたりすることが、音楽を聴く前後の時間をより豊かなものにしてくれるのです。
また、歌詞カードやライナーノーツ(評論家による解説)も、一緒に読みながら聴くことで、アーティストのメッセージや制作背景を深く知ることができます。
「聴く」「見る」「読む」という三つの体験が一体となるのは、レコードならではの楽しみ方でしょう。
収集の喜びと音楽を所有する実感がある!
レコードには、コレクションとしての魅力もあります。
限定プレスやカラー盤・重量盤など、フォーマット自体に多様性があり、「モノとしての価値」が高いのも特徴です。
中古レコード店で掘り出し物を見つける時の感覚は、まるで宝探しのようなワクワク感を伴います。
しかし、ストリーミングでは「聴ける」のは同じだけれども「所有している」と言う感覚は薄くなりがちです。
その点レコードは物理的に存在するため、まるで、自分の音楽ライブラリを1枚1枚育てて行くような感覚が現れます。
ライブラリをきちんと維持するために、それぞれのディスクを、クリーナーできちんと綺麗にしてしまいたくなるのも自然なこと。
「このレコードはあの旅行の帰りに買った」「この盤は父から譲り受けた」といったエピソードと重なり、音楽とともに思い出も積み重なって行くのです。
最後に:不便だからこそ豊かになる時間となる
アナログレコードは、便利さや効率とは対極にある存在です。
しかし、その「不便さ」の中に、音楽をじっくり味わうための豊かな時間があります。
針を落とし、盤が回る音に耳を澄ませ、ジャケットを眺めながら音に浸る。
そんな体験は現代社会において、むしろ貴重なものになっているのではないでしょうか。
これは同じく、不便を楽しむために出掛けるキャンプに通じるものがあると思います。
もしあなたが、まだレコードに触れたことがないと言う方なら、ぜひ一度、アナログの音に耳を傾けてみて下さい。
きっと、いつもの音楽が違って聴こえるはずですよ。!(^^)!
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