近年、ネットワーク対応プリメインアンプの注目度が高まっています。
その中でも注目を集めているのが、DENONの『PMA-900HNE』。
老舗ブランドとしてオーディオファンに支持されて来たDENONですが、このモデルはいわゆる “全部入り” のモデルとして、比較的手頃な価格帯ながらも多機能・高音質をうたっています。
今回は、実際にPMA-900HNEを購入・使用しているユーザーのレビューを参考に、その音質や使い勝手を評価して行きましょう。
スペックと特徴:ミドルクラスにして充実の装備
PMA-900HNEは、DENONのプリメインアンプラインナップの中では、ミドルクラスに位置づけられるモデルです。
その最大の特徴は、同社とMarantzが合同で開発した、HEOS内蔵によるネットワーク再生機能。
Wi-Fi、Bluetooth、AirPlay 2、Spotify Connect、インターネットラジオなど、現代のリスニングスタイルにマッチする機能が網羅されています。
またUSB-DACは搭載していませんが、光・同軸デジタル入力、PHONO(MM/MC2種類)入力も備え、CDプレイヤーからレコードプレイヤーまで幅広く対応が可能。
アナログ派だけでなく、デジタル派も満足させる仕様です。
定格出力は50W+50W(8Ω)と見た目は控えめながら、実際には十分なパワーと安定性を兼ね備えていますよ。
音質の印象:バランスの取れた素直な音だ
肝心の音質についてまず感じるのは「とにかく素直でバランスが良い」という点です。
中低域は過去のDENONのアンプと比べやや控えめながらも、キレは良くて過度に膨らむことはなく、高域はきらびやかと言うより「スムースで自然」。
長時間聴いていても疲れにくい、リスニングに理想的な音作りがされています。
特にアナログ入力での音楽再生では、DENONらしいウォームで豊かに中域が際立ち、ボーカルの存在感が非常にリアルに感じられます。
一方で、デジタル入力では透明感のある音場表現が光り、ジャズやクラシックとの相性も良好です。
いわば「ジャンルを選ばない万能型」と言えるでしょう。
ではここで、あるオーディショップの担当者が音質レビューした、動画をご覧いただきましょう。
本機と価格的に同クラスのネットワークアンプとなる、Marantz PM7000Nとを比較したものです。
協力 よつむチャンネルさん
いかがですか。
同じグループ会社の製品ながら、コンセプトの違いで音質が違うことを感じでいただけたでしょうか?
高音域がスキッとしたPM7000Nと比べ、PMA-900HNEは全体的にエネルギー感が中低音域に寄っていると思います。
実際の使用感:アプリ連携と操作性について
PMA-900HNEのネットワーク機能の核となるのがHEOSアプリ。
スマホに収めているプレイリストを操作したり、複数部屋のHEOS機器を一括管理できるのが魅力ですね。
アプリのデザインにやや古臭さはあるものの、基本的な操作は直感的で使いにくさはありません。
SpotifyやAmazon Music、TIDALなどのストリーミング再生にもスムーズに対応してくれるんです。
また、Wi-Fi接続の安定性も高く、音飛びや途切れといったストレスは本機はほぼないとのこと。
さらに、付属のリモコンもレイアウトは比較的シンプルで、ボリュームや入力切り替えもスムーズだと思います。
アナログ派のユーザーでもデジタル派のユーザーでも、快適に扱える設計ですね。
では、すでに愛用しているユーザーの皆さんは本機を使ってみて、どんな感想を持っているのでしょうか?
いくつかレビューを集めましたので、次の頁をご覧になってみて下さい。
PMA-900HNEのユーザーレビュー
★「(以前使っていたエントリーモデルの)PMA-390REと比べボーカルが前に出てくるし、音の分離感・粒立ち・音場の広さ・クリアさ、全ての面でPMA-900HNEが上だ。低域は最近のDENONらしく?フラットな感じであまりガッツリと出るタイプではないが、(DALIの)OBERON5と合わせるとPMA-390REの時と同様相性は抜群で、飛躍的な音質向上とまではいかないが、先に述べた点で音質は向上しているので、納得している。」
★「携帯でHEOSを再生すると(自動的に)スイッチが入ったり、インプットが切り替わるなど、よく考えられている。ダイヤルに指環がなくなり、全ての大小が液晶の数字で確認しなければならなくなった。そのためには数字のサイズを大きく表示しないと、リスニングポジションから見えない。ここは大きな問題点だ。音質はよくぞここまでやったという感じだ。解像度が高く、中高音のなめらかさとキラメキ感はすばらしい。ただ欠点もある。それは低音だ。低音が弱く感じる。ドライブ感がない。」
★「機能は多いし、インターネットラジオが聴けることも便利だが、時代相応の作りと価格という感じがする。アンプの音質に関していえば、低音がかなりスカスカで、一昔前のミニコンポの方がよくできていたかもしれない。小さなスピーカーをBGMように鳴らすだけなので多くを期待していなかったが、以前使っていたアンプの方が良い音だった。」
★「amazon music hdを聴くために購入したが、はっきり言ってショボ過ぎる。何この安っぽい音は?全く味も素っ気もない。ブンスカ怒って3日目。HEOSアプリのマイデバイス設定を見ると【クオリティ】とある。更に見ると【標準】にチェックされていて【高品質】を選べるじゃないか。聴き出して驚いた。全く違うじゃないか。なんて素晴らしい。さっきまでの安っぽい音質は何だったんだ!皆さん気をつけてください。設定を必ず変更してください。あー素晴らしい。」
まとめ:コスパ重視のオーディオファンに最適
総合的に見てPMA-900HNEは、ミドルクラスとして何でもできる優等生アンプです。
派手な音ではないものの、あらゆる音源を忠実に再生する実力があり、聴き疲れしない音作りは長時間の音楽鑑賞にぴったり。
さらに、ネットワーク対応による利便性の高さは、現代のオーディオ環境に非常に良くマッチしているでしょう。
気になる弱点は、今までのDENONのアンプと比べ、低音の押し出し感がやや弱くなっていること。
量感的には変わらないのですが、最近のデジタルアンプ的なスッキリ感の高い音質になった気がします。
私は同じDENONのPMA-390Ⅳを持っていますが、こちらの方がやや締まりのないアナログ的な音ながらも、ドッシリ感を感じますね。
その代わり、本機は解像度がより向上したと言えるので、低音より中高音の高音質化に力を入れたのかも知れません。
相性の良いスピーカーを挙げるとDALIやJBLの一連のモデルが良さそうですが、これらを選んでも低音不足を感じるなら、サブウーファーを追加してみると良いでしょう。
とは言えトータル的に価格も加味して考えれば、中級者程度のリスナーなら十分に納得できるレベル。
そして「CDもレコードも聴くけど、ストリーミングも活用したい」と言う欲張りなリスナーに取っては、PMA-900HNEは間違いなく「買い」のモデルになることでしょう。
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