アナログレコードと言うと、このデジタル時代において、クラシカルなイメージを浮かべる人もいるかも知れません。
ところがこのところ、若い世代の方々がレコードに興味を持ち、中古レコード集めに奔走している話を聞くことがあります。
スイッチボンでパッと音楽を流すのとは違う、音が出るまでの儀式が長い、レコードプレーヤーの操作が面白いと言うのです。
そこで操作の容易なエントリークラスのプレーヤーが、いく種類も新たに登場しているのですが、エントリーモデルの多くはそれなりの音質である点は否めません。
そこで、あえて自動化機能などを省いて操作は全てマニュアルとし、価格を抑えながらも、音質だけにはこだわった機種をご紹介したいと思います。
それは「Rega Planar 1」と言うレコードプレーヤー。
「エントリーモデルでも音の優れたモデルが欲しい」、そんなオーディオ初心者におすすめのPlanar 1を、今回ユーザーレビューを参考に評価してみたいと思います。
レコードプレーヤー Rega Planar 1の魅力と特徴
Planar 1は、イギリスにあるRega本社で開発され製造されている、まさにMade in Englandの製品です。
同社は総合オーディオメーカーですが、日本国内では、特にレコードプレーヤーの評判が高いようです。
ボディデザインは非常にシンプルで、ダストカバーを取り外すと、薄くてスマートな感じに見えますよ。
大量生産品ではありますが、多くの工程を職人の手によって作られた、ハンドメイド的な匂いのする商品です。
駆動方式はベルトドライブ式を採用し、シェルと一体化した、アルミ合金製のストレートトーンアームが本体に取り付けられています。
本機はレコードそのものを聴くことに特化した構成で、音源をデジタル化する機能はないし、フォノイコライザーも内蔵していません。
また、トーンアームとプラッター(ターンテーブル)は連動していないので、プラッターの電源を入れてからトーンアームを動かす操作が必要です。
プラッターの回転は33 1/3回転と45回転の2速にできますが、一般のモデルのようにスイッチ切り替え方式ではなく、ゴムベルトの張り替えで切り替えるレトロなやり方。
いつもLP盤ばかり聴く人は良いですが、EP盤もちょくちょく聴く人取っては不便な仕様と言えるでしょう。
ただ初心者用に相応しく、同社オリジナルのMM型カートリッジが付属します。
トーンアームは、高音質に再生できるよう開発されたもので、あえて先端のシェルが分離できないようになっています。
気軽にカートリッジを交換して音の違いを楽しむのには、あまり現実的ではありませんが音質的には有利です。
しかし、カートリッジを簡単に取り換えられないことは、あまり初心者には重要なことではないでしょう。
本機を使うにあたり面白いのは、初めて箱から出した時に行う、アームの水平を取ったりアンチスケーティングを取る作業を行わなくても良いこと。
ユーザーは、アーム後部にカウンターウェイトをはめるだけで、すぐにレコードを掛けることが可能です。
このあたりの仕様は、まさに初心者向けと言えますね。
あと驚くのが、プラッターの材質が金属ではなくプラスチックであること。
これまでの常識では、慣性特性を高めるために重い金属を使うのですが、それを覆すようにフェノール樹脂と呼ばれるプラスチック素材を使っているのです。
見た目に安っぽいし、ワウ・フラッター特性も非公表なことで、軽いプラスチックで大丈夫なの?と思うかも知れませんね。
しかしメーカーの説明では、AC24Vモーターを搭載し制御回路を見直したことで、その心配はいらないようです。
また本体ボディは、MDFを重ねて固めたメラミン材で作られ、不要な振動から守る設計で高音質に貢献しています。
では、このPlanar 1から得られる音質や使い勝手はどんなものでしょうか。
本機を使うユーザーのレビューを集めたのでご覧いただき、それを参考にしながら、後ほど検証・評価してみましょう。
レコードプレーヤー Rega Planar 1のユーザーレビュー
★「ターンテーブルが安っぽいのに、笑ってしまうほど良い音がする。アナログプレーヤーでは特に物量が重要だと信じてきたが、まったく違っていたことがわかる。重低音から高音まで、とてもバランスよく、スピード感のある素敵な音がする。付属カートリッジの音色も含めロックやポップスが似合う印象だが、クラシックやジャズも十分にこなす。」
★「デザインとしては、まあ、ヨーロピアン的なデザインが好きなら、なかなか良い。プラッターは安っぽいが、音質に関してはこの機種はここが一番の肝だ。最安値の入門機で、既に完成された音が出て来る。とりあえずレコードを聴きたい人が居たら、私は有無を言わさずにこの機種を勧める。箱から出して、何もせずに完璧なレコードの素晴らしい音が出て来る。低価格帯の機種に心配な回転ムラもない(気にならない)。この安定性は常にロックを初め、音楽の最先端を走って来たイギリスの底力を感じる。」
★「確かに音はいい。情報量が多いというのか、低性能のプレーヤーでは再生しきれなかった音も聞こえて奥行き感がある。主にクラシックを聴いているが、ホールの雰囲気も感じられるよう。ただターンテーブルとアームが連動していないので、アームを持ち上げながら、左下のスイッチを入れてターンテーブルを回す。なかなか面倒。アームは針を落とすところから、曲が終わって戻すところまで完全手動。カバーを開閉して使うには、留め具がかなりチープな感じ。おそらくカバーは取り外せ、ということだろう。デザイン的にもその方がよい感じ。33/45回転の切り替えは、ターンテーブルを外して中のベルトを掛け替える。切り替えが “できる” というだけで、便利とは到底いえない。LPとドーナツ盤をたびたび切り替える人には向かない。説明書もドーナツ盤くらいの丸い紙が一枚だけ。あまりにクセがあるというか、音質以外の機能を捨てている設計で笑ってしまった。一番大事なものは音、といい切れる人向き。」
★「お金はそれほど払えない。入門者だし。でも音はやっぱり妥協したくない。そんな人にはコレだ。兎に角音が良い。他はダメ。 (笑) でもとりあえず贅沢は出来ないけど、レコードの良い音を聴いてみたい・・・。そんな人はこれを買ってほしい。」
レコードプレーヤー Rega Planar 1の評価
Planar 1は、限られた生産コストでいかに高音質を達成させるかを、徹底的に考え抜いたレコードプレーヤーだと思います。
日本の製品なら大抵どの製品でも、音質と使い勝手のバランスを考えて設計するのですが、本機は音質に関係するもの以外は全て切り捨てた感じがします。
ただし、オーディオ初心者の使用にも不足があってはならないと言う、プライドの下で完成させた結果が本機となったのでしょう。
そのため高品質なカートリッジを標準装備したり、アンチスケーティング設定など、初心者には難しいセットアップを省略させる仕様としたに違いありません。
初心者向きだから、それなりの音が出せれば良いと言う考えは、Regaにはないのです。
その代わり、レコードの良さをうんと味わってもらう以上、その不便さも同時に体験させるかのような親心?も感じさせるのが本機の本質ではないでしょうか。
おかげでレコード初心者のみならず、昔はレコードを収集したけれど、今は押し入れの中へしまい込んでしまっている古いオーディオファンも、呼び覚ますキッカケを作ってくれる機器でもあるのです。
すでにプレーヤーを処分したユーザーが、もう一度レコードを聴いてみたいと思って本機を選んだとしたら、きっと気に入ってもらえることでしょうね。
最後に気を付けたいのは、大昔の日本の家電品のように、購入時に50Hzモデルと60Hzモデルを区別しないといけないことです。
あまりの旧式ぶりに唖然としてしまいますが、でもこれを間違えるとまともな回転数が得られません。
お宅の100V電源の周波数を、ちゃんと確認してから購入するようにしましょう。
※この商品は、現在販売されておりません
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