オーディオコンポの中核となるのはアンプ。
そのアンプの中で、最も一般的で人気なのがプリメインアンプです。
コンポの音質に大きく影響するのは、スピーカーであるのは周知のことですが、それを支えるのはアンプなので、これを購入する際は適当に選んではいけません。
実はあなたが思っている以上に、アンプはコンポの音質を左右すると言っても、過言ではないのです。
そこで今回はトランジスタ式に絞り、安い価格帯からどのプリメインアンプがおすすめか、3機種厳選してお伝えしようと思います。
初心者のあなたには、どのモデルが相応しいか検証しながら、悔いのないお買い物となるお手伝いをしましょう。
アンプの違いでどれほど音は変わるのか?
ここで最初に言っておきますが、あなたが所有のコンポをグレードアップしようとする場合、アンプよりスピーカーを交換する方が、音の変化は大きいものです。
アンプを換えたからと言って、劇的に音が変わらないのは周知のことですが、でもハイクラスとエントリークラスと比べて、音の違いがないと言うことはありません。
最近ネット上で「アンプは高級機を買っても意味がなく、安いもので十分。だからアンプには金を掛けず、スピーカーに予算を費やそう。」と言うような記事を見かけます。
つまり、”アンプの役目は、小さな音声信号を大きく増幅するだけだから、音質と言うものは存在しない”。
よって、”音質のカギを握るのはあくまでスピーカーだ”、と言うのです。
しかしこれは、高い確率で正解ではないと思いますよ。
条件にもよりますが、アンプが替われば音は変わるんです。
これはこのブログの記事、『オーディオアンプとスピーカーの関係』でも書きましたが、自分の耳でも違いを経験しているので、間違いないと思います。
ではなぜアンプだけ替えても、音は良くならない(音質は変わらない)、と言う話が出て来るのでしょうか?
それは多くの場合、同メーカーでのグレードアップを図ったせいだろう、と思うんです。
メーカーが同じアンプの場合、どのモデルも基本的に音に対するポリシーは同じ。
なので、仮に5万円の機種を2倍の10万円のものにグレードアップしても、すぐに音の違いを聞き分けることは難しいでしょう。
使っていくうちに、徐々に解像度や、余裕ある鳴り方を体感できるものなんです。
ただメーカーが違えばポリシーも違うので、これだと同クラスのモデルに交換しても音質の違いを感じると思います。
また、トランジスタアナログアンプやデジタルアンプ、そして真空管アンプなど、増幅回路が異なるとやはり音質は変わりますね。
そんなことから、あなたがコンポを組む際は、まず最初にスピーカーを選ぶことから始めましょう。
それから、選んだスピーカーのパフォーマンスを最も発揮するアンプはどれか、思案するのが良いです。
先ほど述べたように、アンプはメーカーが違うと、音の違いが分かりやすいもの。
前もって、メーカー別に音質の傾向を掴んでおくことが、確かなコンポ選びのコツとなるのです。
と言うことで、次の頁で売れ筋の価格帯から、おすすめのプリメインアンプを厳選し、3機種ピックアップしてみましょう。
Marantz PM6007
Marantzは、元々アメリカで創業されたメーカーで、当時から完成度の高い製品を輩出していましたが、現在は日本資本での会社となっています。
その中でPM6007は、同社の中ではエントリーモデルながら、最も人気の高いプリメインアンプです。
特徴は、伝統のアナログアンプながらDACを内蔵し、192kHz/24bit対応のデジタル入力が可能で、ハイレゾ音源の再生が楽しめること。
CDを再生するにしても、プレーヤー側がデジタル出力できるなら、それを本機に入力させて、ピュアな増幅ができると言う訳です。
もちろん、本機はフォノイコライザーも内蔵していますから、以前と変わりなくアナログレコードも楽しめる、デジ/アナ二刀流アンプなんですね。
音質は中音域が充実した、全域に渡り歪の少ないもの。
ボーカルが好きなリスナーなら、そのクッキリとした歌声に、聞き惚れてしまうのではないでしょうか?
ただ決して硬くはないものの、以前のモデルと比べるとやや音の厚みに欠け、デジタルアンプ的な低域が控えめな印象があります。
そんなところから組み合わせるスピーカーは、低音をふっくら再生するモデルと、相性が良いのではないかと思います。
もしそのように組み合わせても、バランスが悪いようなら、このPM6007にはサブウーファー端子が付いています。
なのでサブウーファーを追加して、低音を増強するのも良いかも知れません。
本機はアタック音の再生にも優れているので、ジャズボーカルなどを中心に聴く人なら、立体的な歌声と共に感動を覚えることでしょう。
出力は45W+45W(8Ω)とほどほどのパワーがあり、よほどインピーダンスの低いスピーカーを選ばない限り、パワー不足になることはないと思います。
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YAMAHA A-S501
YAMAHAは、伝統のナチュラルサウンドを継承するコンポを、今も作り続けている総合音響メーカー。
なので、昔から音のイメージが変わっていません。
新しいA-S501も同じで、見た目も昔ながらのデザインと大きさを引き継いでいることから、YAMAHAアンプのファンなら、そのスタイルにしっくり馴染むと思います。
特徴は、左右対称の大型トランスと、ヒートシンカーを搭載した強力な電源部を備えていること。
85W+85W(8Ω)の大きなパワーと共に、使用するスピーカーが大型でも、朗々と鳴らせる実力を持っています。
しかも、アナログアンプを基本としながら、192kHz/24bitデジタル入力を可能として、デジタルの素質を持ったアンプとなっているんです。
音質は、ナチュラルサウンドを銘打っているだけあり、低音から高音までフラットで、特に強調された音域が少ないもの。
それだけに、気になるクセがなく透き通った、いわゆる、高い透明感を持った音と表現できるでしょうか。
なので長時間鳴らし続けても、聴き疲れてしまうことがありません。
それが功を成しているのか、2014年のデビュー以来、ずっとロングセラーになっているのです。
クラシックやボピュラーを好む人には、おすすめの一品と言えますね。
ただ再生するソースによっては、低音不足を感じる場合があるので、ドンシャリではなく、低音がゆったり響くスピーカーと組むと良いでしょう。
また本機もサブウーファー端子があり、部屋のレイアウト上、小形スピーカーしか使えない環境なら、サブウーファーを追加することもできます。
あと、フォノイコライザーも忘れずに備わっているので、レコード派ユーザーも、十分受け入れることができるでしょう。
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DENON PMA-600NE
DENONは、日本で最も古いオーディオメーカーの1つで、今は “デノン” と発音しますが、以前は日本コロンビアの、”デンオン” と言うブランドとして発展して来ました。
その中でPMA-600NEは、ベストセラー390シリーズの新型機として、品番を改め登場したものです。
以前の390シリーズと違うのは、時代の流れに合わせて、デジタル入力に対応したこと。
先ほど述べたPM6007やA-S501にもある、192kHz/24bitに対応したDACを内蔵し、デジタル音源を入力できるんです。
さらにケーブル有線接続だけでなく、Bluetooth4.2に対応した、ワイヤレス接続が可能になっています。
手軽に、スマホなどの音源が再生できる訳ですね。
これは、Bluetooth機器を多用する世代の人に対し、大きな武器になると思います。
もちろん、昔ながらのMM型カートリッジに対応する、フォノイコライザーも内蔵しています。
レコードプレーヤーを持っていれば、人気復活のアナログレコードも再生可能です。
ただ機能として残念なのは、スピーカー出力端子が、一系統しかなくなってしまったんですね。
これだと、2組のスピーカーを並べて音の違いを楽しんだり、バイワイヤリング接続して、音質を向上させたりすることができません。
本機は同社としてはエントリーモデルですが、初心者だけでなく、中級者もメインで使うこともあるので惜しいところです。
音質は中低域に重心を置いたもので、スピーカーを元気に鳴らす、ゴキゲンなサウンドと言えます。
パワーは45W+45W(8Ω)で、多くのスピーカーを不足なく駆動。
リズム感豊かなジャンルの曲や、ベースを利かせたジャズが好きなリスナーに、おすすめのプリメインアンプです。
本機にもサブウーファー端子がありますが、大抵のスピーカーで、この端子を必要とする機会は少ないのでは?
重低音を重視したコンポを組みたいなら、このアンプを中心にすると良い結果が出るでしょう。
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まとめ
以上、売れ筋の安い価格帯のモデルから、プリメインアンプを厳選すると、これらMarantz・YAMAHA・DENONの3機種が最もおすすめです。
これらを中心にシステムを構築することで、音質に飽き足らなくなった時に、スピーカーをグレードアップしても、十分パフォーマンスは保てるはず。
せっかく、より高音質なスピーカーに買い替えても、それを駆動するアンプがショボいのでは、スピーカーの持ち味を発揮させることができません。
アンプを交換して、音のグレードアップ図る方法もありますが、同じメーカーのモデルだと、すぐに違いを感じるのは難しいです。
もしあなたがアンプのグレードアップにこだわるのなら、違うメーカーのモデルを選んだ方が効果的だと、私の経験では思います。
アンプには音質がないので、メーカー問わず、ベーシックモデルで十分とおっしゃるマニアの方がいますが、これは間違いではないでしょうか?
メーカーが違えばアンプも音が違うことを、あなたも感じていただければ幸いです。
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