自宅でホームシアターを構築しようとする場合、まず考えるのはマルチチャンネルのAVアンプではないでしょうか?
オーディオ用2chアンプと違い、多数のスピーカーを使って5.1chや7.1chに対応し、臨場感のある音場を再現することが可能ですよね。
ただし、多くのAVアンプは機能が豊富なだけに、本体が大きくなりがちで、ラックの中に収納しきれない場合があるものです。
そのため興味があっても、購入を控えて来た人もいることでしょう。
これがもし一般のプリメインアンプと同じか、それ以下の小さなものだったら、あなたも食指が動いてしまうのではありませんか?
そんなコンパクトなAVアンプ、実はあるんですよ。
それが「マランツ NR1711」です。
今回はAVアンプらしからぬ小型ボディで、7.2chチャンネル対応のNR1711の魅力を検証し、ユーザーレビューを参考に評価してみようと思います。
マランツ NR1711の特徴
まずはあるお店の動画で、NR1711の開封動画をご覧下さい。
これを見ることで、ある程度本機の概要が分かると思います。
協力 サウンドラインモノリスさん
本機のおおざっぱな特徴は、最新の規格のサラウンドや8Kの映像フォーマット、それから次世代のゲームフォーマットにも対応していることです。
映像や映像の規格は日々進化しており、サラウンドでは、MPEG4 ACC5.1/Dolby Atmos/DTS:Xに対応。
映像では4K/120Hzだけでなく、何と8K/60Hzのフォーマットにも対応しており、これら新しい規格で本機を制御できると言う訳です。
さらに、大画面で迫力あるゲームを楽しむためのフォーマット、VRR QET ALLNにも対応するとのことですが、正直なところ複雑で、何がどうなんだよって疑問符が頭に浮かんでしまいますね。
もっと簡単に言えば、新しい規格のサウンドフォーマットほぼ全てに、本機は対応していますよってことでしょうか。
これらのフォーマットに対して、はたしてユーザーがどれ程使いこなせるのか分かりませんが、新しモノが好きな方には好まれるのは確かです。
でも多くのユーザーが一番関心を寄せるのは、何と言っても7chもあるアンプを活用し、前後左右から迫る音像を楽しめることにあると思います。
本機はこの7chに加えて、サブウーファーを2台まで取り付けが可能で、7.2chホームシアター対応AVアンプとしています。
とは言っても、この機能をフルに生かしホームシアターを構築するのは、日本の住宅事情では難しいかも知れません。
ところがAVアンプはホームシアター構築意外に、別の面白い使い方ができるんです。
それは、バイワイヤリング接続可能なスピーカーと組み合わせ、バイアンプ仕様のオーディオコンポとして使えること。
映像の迫力を盛り上げるためのAVアンプなのに、敢えてピュアオーディオ用アンプとして使用するのです。
まずは、2chでピュアサウンドホームシアターを楽しみ、予算ができたら、少しずつ多チャンネルホームシアターへ移行するのも面白いのではないでしょうか。
マランツ NR1711と旧NR1710を比較してどこが違う?
さて本機NR1711には、旧モデルNR1710がありました。
両機にはどんな違いがあるのか、比較してみたいと思います。
外観を見ると両機はそっくりで、高さがわずか105㎜しかない背の低さも変わりません。
ただフロントパネルを良く見ると、NR1710にあったHDMT端子が、NR1711では廃止されていることが分かります。
そして背面パネルでは、NR1710にはHDMI入力端子が7つあったものが、NR1711では6つに減り、そのうちの1つが8K対応のものになっています。
つまり本機NR1711は、8K60Hz/4K120Hz・HDR10+DynamicHDR・QSM/DSCなどのフォーマットに、新たに対応したのです。
それから前述のように、サブウーファーが2台接続できるようになり、7.1chから7.2chになりました。
とまあ、これくらいの変更(違い)で、大きく進化した印象はありません。
パワーもフロント定格出力が、50W+50W(8Ω 20Hz~2KHz)と変わりません。
価格も定価税込99,000円と変わりなく、使われるチップも新しくはないようです。
※この後、税込103.400円に改定されました。
ただ音の味付けに、変更がなされています。
元々マランツは他社のAVアンプと違い、過度に音を強調したりはしていません。
どちらかと言えば、2chオーディオ用アンプに似たサウンドで、真面目でナチュラルなものです。
ところがNR1710と比較すると、NR1711は重心を低域に寄せた、やや太めの音質に変更されています。
低音の量が増えたのではなく、芯が太くなったと言うか、力強さが増した感じなのです。
部品を変えた訳ではないので、大きく変化はしていませんが、チップの配列の見直しなどで解像度のアップを図っています。
と言うことで、次に実際の本機の使い勝手や音質のほどは、どんなものなのでしょうか?
すでに愛用している皆さんのレビューから、探ってみましょう。
その後で、私が本機を評価します。
マランツ NR1711のユーザーレビュー
★「iPad miniでHEOSアプリで、AmazonMusic HDを使っている。再生するのに電源オンから連動するのは素晴らしい。音質を比較して2chのモデルの方が好みだったが、必要十分だ。目を閉じるとボーカルの息遣いまでしっかり聞こえるし、ブラスバンドも何本鳴っているのかがわかる。でも本当は、きゃりーぱみゅぱみゅさんのような、シンセサイザーの音が一番解像してドッシリ安定して鳴る気がする。パワーは必要十分。木造家屋が吹っ飛びそうなくらいには鳴らせる。バイアンプ接続でJBLのタワー型スピーカーを使用している。」
★「操作性はもたつきがあるのと、画面表示がフルHDではなくて、ちょっとボケ気味だ。リモコンコードが切り替えできないため、他のマランツの機種と干渉してしまうのが難点だ。音質は素晴らしいの一言。プリメインアンプのPM8006も持っているが、厳密に比較しなければ十分良い音だと思う。フロント左右にDALI OPTICON6(バイアンプ接続)、センターにDALI ZENSOR1を設置してみたところ、サラウンドスピーカーがなくてもサラウンド効果が楽しめた。Marantzのアンプはクセがなく解像度が高いので、DALIのスピーカーと相性がいい気がする。ちなみにウーファーがなくてもOPTICON6の低音で十分迫力があるので、部屋が狭い人や重低音が不要な方は参考にしてみてほしい。」
★「テレビのスピーカーでは音が聞きづらかったので、動画視聴と音楽鑑賞もあわせて行えるよう本製品の購入に至った。まず付属品にマイクとマイクスタンドがついており、最初に部屋の環境にあわせて音が出るよう設定を行っていく。接続を含めて設定に1時間くらいで終わらせて初めて音を聴いてみた所、全然いい音が出ない。左右の音がバラバラでバランスが悪く、音も無茶苦茶小さい。しばらく試行錯誤した結果、マニュアルモードに切替えて普通の奇麗な音に変わってくれた。まあ満足できる音になったが、何度試しても自動設定が上手くいかないので、100%の音が出ている気がせず購入満足度はイマイチだ。」
★「音楽を中心に聴く人には最適なAVアンプだと思う。今回ヤマハRX-S602からの買い替えだが、音楽鑑賞が中心の人にとってはマランツのほうが合っていると思う。スマホの感度と操作性はヤマハのアプリの方が優れている。マランツのスマホのアプリは、2つインストールしなければならないのと反応が遅い。リモコンについてもヤマハのほうがサクサク操作できる。マランツは音のDSPの設定があまりできないが、どのDSPでも気持ち良く聴くことができる。スピーカー:ダイヤトーンDS-77Z サブウーファー:YST-SW320」
マランツ NR1711の評価
NR1711はAVアンプながら小ぶりなボディで、オーディオラックにも楽に収納できるので、とても扱いやすいことが魅力ですね。
小さくても多才な機能にあふれ、最新のあらゆるフォーマットに対応しているところが、これからホームシアターを構築する方には見逃せない1台だと思います。
それから本機の特徴的なところは、意外なくらい、2chピュアオーディオアンプに近い味付けの音質だと言うことですね。
AVアンプは高音や低音を強調した音質のものが多く、ピュアオーディオ的な見方をすると、不自然な音と評価されることがあります。
しかし本機の場合それがなく、多チャンネルであることを利用しバイアンプ接続して、オーディオアンプとして使用するユーザーも多いのです。
これは旧NR1710でも同じことが言え、そのため新旧並べて音質を比較すると、あまりその違いが分からないかも知れません。
現実的にはドンシャリした音質ではなく、スッキリ透き通った傾向の音です。
それが新型となる本機は、中低域の太さと、しっかり感を加味した音に進化したと評価できるでしょう。
ホームシアターには興味あるけれど、あまり強調された音ではなく、ピュアオーディオ的な音で楽しみたいと思う方なら、選んで後悔のないAVアンプだと思います。
組み合わせるスピーカーは、定位の良い音で人気の高い一連のDALIが良く、実際、本機と同時購入する方は多いですね。
私としてはもう少し押し出し感がほしいので、JBLかDENON辺りを選ぶと、高音低音のバランスが向上して良くなるのではと感じています。
※この商品は現在販売されておりません
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