これまで、スマホやデジタルプレーヤーの音源をイヤホンで聴いていた人が、次にステップアップする製品と言えば、ミニコンポが挙げられますね。
ミニコンポは、システムオーディオとして日本で開発されたもので、多くの製品が販売されています。
その中で、比較的グレードの高いモデルが新たに登場しました。
それは、「パナソニック SC-PMX900」です。
パナソニックブランドでありながら、オーディオ専門ブランド “Technics” のロゴを貼った、高音質モデルとしているのです。
パナソニックミニコンポとして最上級グレードの本機は、それまでのSC-PMX150や下級グレードのSC-PMX90とどう違うのでしょうか。
今回はユーザーレビューなど参考にしながら、このSC-PMX900を検証・評価してみることにしましょう。
パナソニック SC-PMX900の特徴
まずはメーカー提供の動画で、SC-PMX900の商品概要をご覧下さい。
おおよそ本機の特徴を掴むことができます。
本機の最大の特徴は、冒頭で触れたようにTechnicsの設計思想を取り入れて、音質改善を目指していることです。
Technics製品に採用されている、JENO Engineと呼ばれるLSIを搭載し、他モデルとの音質の差別化を図りました。
CDプレーヤー部も、44.1kHz/16bit記録されたCD信号をデジタル処理によって、88.2kHz/32bitに拡張することで高音質に変換。
このリマスター処理により、ハイレゾに迫る音質を実現しています。
それからUSB端子とPC入力端子・NASのネットワーク経由では、SACDに用いられているDSD(Direct Stream Digital)に対応。
原音に忠実な、ハイレゾ音源の再生が可能になりました。
そのためスピーカーは、スーパーソニックツイーターを加えて3ウェイとし、ハイレゾ音域の100kHzまでの再生に対応させています。
機能としてはCD・FM/AMラジオ・Bluetooth音源に加え、Wi-Fi経由でもPCやNASと接続でき、インターネットラジオを聴くことが可能。
面白いのは、光デジタル入力端子やAUX IN入力端子を利用してテレビとつなげば、これだけで2chホームシアターを構築できることです。
テレビのリモコンで、本機の電源ON/OFFやボリューム調節が可能です。
本格的なホームシアターとまでは行きませんが、テレビ内蔵のスピーカーで再生するよりも、はるかに高音質で音が楽しめるんですね。
それと、パネル前面にはUSB端子があり、USBメモリーを挿して音源を録音できる機能を備えています。
ファイルはMP3になりますが、手軽にCDやラジオ放送の録音ができるので、USB入力のあるカーオーディオ等で再生できますよ。
とまあ本機は、これまでのパナソニックのミニコンポを超える、機能・性能共に充実したモデルになっています。
パナソニック SC-PMX900とSC-PMX150やSC-PMX90との違い
SC-PMX900は2021年11月現在、パナソニックのミニコンポの中では最もハイグレードなモデルで、SC-PMX150はその旧モデルです。
両機を見比べるとソックリであり、パッと見ただけでは区別が付きません。
SC-PMX150
正面を見て違うのは、SC-PMX150にあるWi-Fiロッドアンテナが、SC-PMX900では隠れて正面からは見えないこと。
リアパネルを見るとPMX900にはAUX IN端子があり、ここにテレビをつなげばテレビのリモコンで本機の電源と音量を操作できます。
PMX150はこの端子がないことで、テレビと連動させることができません。
SC-PMX900
アンプ出力はどちらも60W+60Wですが、PMX900はTechnicsの名が入ったLSIを搭載。
このLSIが高性能な分、PMX900の方が高音質となっています。
スピーカーは若干スペックが異なる部分があるものの、両機とも14㎝ウーファー・1.9㎝ドームツイーターに1.2㎝スーパーツイーター構成です。
どちらもハイレゾ再生には対応しています。
PMX150との違いは、PMX900はレシーバー内部の構成や部品が、Technicsクオリティに準じたものになったものと言えるでしょう。
SC-PMX90
そしてPMX90との違いでは、単純に言えばPMX900のスペックダウン版で、見かけは同じですが、レシーバーの機能が制限されたものになっています。
PMX900と違い、PMX90にはWi-Fiがありません。
Bluetooth以外は、全て有線接続が基本になっていますね。
アンプの構成や部品も、それなりにコストを抑えた内容です。
スピーカーは使用するユニットはどちらも同じですが、ハイレゾ音域のスペックが劣っているので、PMX900の方が高性能になっていると思えば良いでしょう。
フロントにあるUSB端子を使い、ハイレゾ音源が再生できるのは同じ。
また両機ともAUX IN端子を搭載していることで、テレビの電源オンと同時にレシーバーの電源が入るのも一緒です。
PMX90でも、手軽に2chホームシアターを構築できます。
PMX150はすでにメーカーの生産を終えているので、手に入れるなら販売店の在庫を確認する必要がありますね。
価格を抑えて気軽にミニコンポに親しむなら、PMX90を選ぶのも悪くはないでしょう。
ミニコンポでありながら高音質を求めるのなら、PMX900を選んだ方が後悔はないと思います。
さて本機SC-PMX900の実際の音質や、使い勝手はどんなものでしょうか?
すでに愛用しているユーザーの皆さんのレビューを集めたので、確かめていただきたいと思います。
パナソニック SC-PMX900のユーザーレビュー
★「五万のイヤホンUMPro50や十万のヘッドホンT5p 2ndを持っているが、それに比較しても劣ることのない音だと思った。イヤホンやヘッドホンとの単純な比較は難しいが・・・。むしろ低音に関しては、さすがにスピーカーと言った感じ。臨場感や音場も、さすがスピーカーと言った具合だ。総評として、六万にしてはコスパがとても良いと思った。ネットワークに繋がなくても、USBメモリーからランダム再生できるのも良い。この値段のミニコンポのスピーカーは音が悪いと言う噂も聞いたが、そんなことはなかった。もちろん上の値段を出せば良い物も買えるかも知れないが、音楽を楽しむ分にはこのコンポでも十分だと思う。」
★「パッと見、SC-PMX90と似た外見とサイズ感だと思ったら、どうやらアンプ部の筐体は流用のようだ。黒光沢仕上げがされたスピーカーは上品。フロントパネルの “Tuned by Technics” のロゴが誇らしい。機能面でのSC-PMX90との最大の違いは、ネットワーク機能(Wi-Fiも装備)が加わった点。あとはUSBメモリー録音が可能。聴いてみると解像度が高く、低音、中音、高音のバランスが素晴らしい点はSC-PMX90と同様。SC-PMX90が元気良くハキハキ鳴るのに対し、本機はやや透明感があり、大人しめにも感じた。但し聴いたのが発売初日でまだ鳴らし込まれていない状態だったので、エイジングにより変わってくる可能性はあるかも。」
★「リモコン操作は慣れが必要だ。良くも悪くもジャパニーズコンポといった感じ。音質はCDやラジオは問題なしだが、物足りない人もいるかも知れない。私の場合はPC(Windows)からのBluetoothかChromecastによる接続をメインに考えて購入したのだが、音楽ストリーミングサービスとの相性は、対象機器や環境に左右されるようで地味にストレスになる。」
★「TVとAudioケーブルでAUX接続することで、AUX AUTO PLAY(TVの電源ONで自動的に電源ONまたはAUX)が可能だ。TVの音質にやや不満があったため、とても満足している。USBメモリに保存した音源の再生も可能で、アプリ “Panasonic Control” を使えばスマホでUSBのアルバム・楽曲を選んで再生することもできる。ただアルバムと曲しか認識できないため、ジャンル・アーティストでの選択ができないのが難点。ネットワーク設定をすれば、PCを立ち上げた状態でPCに保存してある音源の再生が可能で、ジャンルやアーティストでの検索も可能。総合的に満足している。」
パナソニック SC-PMX900の評価
ここからは以上の情報を踏まえ、私がSC-PMX900の評価をしてみようと思います。
本機は音質面の印象を言えば、全体的にかなり現代的・デジタル的なサウンドを奏でるモデルだと思います。
少々硬調ながらも解像度は高く、低音から高音までバランスが良いし、それでいてクセのない音質ですね。
サブウーファー端子が装備されないのが不満との声もありますが、普通に聴く限り低音不足になることはないんじゃないでしょうか。
ハイレゾ音源を再生しても、高音の伸びはシッカリあるので、ミニコンポとしてはかなり優等生と言えるでしょう。
ネットワーク再生するには、設定がやや複雑な面がありますが、ネット音源にこだわるユーザーに取っては困難ではないはずです。
テレビの音質に不満を持つ人にも、本機を通して再生させれば、かなりの音質改善になることでしょう。
メーカーを問わずどこのテレビのリモコンでも、本機の電源ON/OFFやボリューム調整ができるのは、使ってみれば実に便利ですからね。
USBメモリーを使って録音ができるのも、本機の魅力の1つです。
ただし細かいことを言えば、CDは本機で録音するより、PCで録音してメモリーに入れた方が音は良いようです。
少しでも音質にこだわるのなら、面倒でもPCで録音することをおすすめしましょう。
ハイレゾ音源にこだわって聴くのも良いし、イコライザー付きレコードプレーヤーを繋いで、レコードを回すのも高音質で楽しめて良いと思います。
しかしCD再生には、ここで1つ提案したいです。
本機は、リマスター処理による高音質を再現するとうたっていますが、ハイレゾ音質そのものと言う訳ではありません。
本機がパナソニック史上最高のミニコンポ音質とうたうなら、少々価格が上昇しても良いので、SACDが再生できるようにすればより評価されるのではないでしょうか?
そうすることで、今までミニコンポに興味を示さなかったオーディオファンの目も、変わるに違いありません。
次期モデルは、ぜひSACDプレーヤーを内蔵したミニコンポをラインナップすることを、私は切望します。
とは言え、価格が10万円以下のモデルの中では、本機SC-PMX900はかなり良くできたミニコンポと評価したいと思います。
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