スピーカーシステムはオーディオコンポの中でも、形状や大きさなどの違いで最も種類が多いです。
1970年~1990年代の全盛期には、大きくてユニット数が多いモデルが、特に売れていたような気がします。
その方が音質的に有利と、メーカーの売り文句もあったんでしょうが、ユーザーの見栄もきっとあったんでしょう。
ですが現在はコンパクトで、小気味良い音を出すモデルが人気です。
その方がスペースを取らない、と言うこともあるんだと思います。
歴史が古い世界のブランドメーカーでも、最近は小型モデルを多数開発し、それがまたヒットにつながっているんですね。
そんな中で、イギリスの老舗KEFのブックシェルフスピーカー、「Q150」が日本で注目されています。
と言う訳で今回は、このQ150を姉妹機Q350と比較しながら魅力を探り、またアンプはどれを選ぶと良いか迫ってみましょう。
KEF Q150は小型ながらじっくり音を楽しむモデルとなっている
Q150は伝統あるKEFのスピーカーとして、もっともリーズナブルなモデル。
エンクロージャーそのものは、他社の製品と似たスクエアなデザインながら、ユニットは独特なものを装備しています。
写真を見るとお分かりのように、一瞬フルレンジスピーカー?と見間違えてしまいそうですよね。
実はこれ、コーン型ウーファーユニットの真ん中に、ドーム型ツイーターを取り付けた2ウェイ構造を取っています。
つまり通常、ツイーターはウーファーの上部に装着されるものが、前方にセットされた同軸ユニットとなっているんです。
ちなみにウーファーは130㎜口径で、ツイーターは25㎜口径のものを採用。
これをやや大きめのエンクロージャーに収めた、バスレフ型スピーカーシステムになっていると言う訳です。
同軸ユニットを採用するメリットとしては、低音から高音まで音の定位が良くなることにあります。
例えば楽器の王様と呼ばれるピアノ。
ピアノは1台で低音から高音まで幅広い音階を奏でますが、この音をオーディオスピーカーを通じて再生すると、多くのモデルはいくつかのユニットに音を分けて耳に届けます。
でも、このようなスピーカーシステムで音を聴き込むと、少し不自然に鳴っているように感じることがあります。
ところが同軸ユニットを備えたスピーカーで聴くと、ビシッと1点にまとまって快適に聞こえるんですね。
これはユニットが1つしかない、フルレンジスピーカーでも同じ。
定位を重視するオーディオファンによれば、同軸ユニットやフルレンジのスピーカーを使うと、モノラル音源の曲でも立体的に聞こえるんだそうですよ。
私はそんな優秀な耳を持っていないので、そこまで同軸ユニットを使ったスピーカーの魅力を上手く表現できません。
ですが、スピーカーとの距離をあまり取れないデスクトップで使うユーザーなら、ニアフィールドとなり、そのメリットを本機で感じ取れるかも知れません。
また本機のほかの魅力として、130㎜の小さなウーファーを搭載している割に、低音の量感がタップリしていることがあります。
小さめのブックシェルフスピーカーは、その小ささゆえに置き方を工夫しないと、低音不足に悩まされることが多いですよね?
しかし本機は比較的ラフに設置しても、低音と高音のバランスが崩れないんです。
その秘密は、効率の良いバスレフメカニズムであることと、大きめのエンクロージャーを採用したことによるものでしょう。
ただ、あまり低音を必要としないユーザーのために、Q150は吸音用のスポンジを付属し、これをバスレフポートに入れることで、タイトな低音再生も可能にしています。
KEF Q150とQ350を比較してみると
写真はQ350
Q150にはQシリーズとして、上級機にQ350がラインナップされています。
デザインはそっくりですが、両機を比較してみると、その違いはウーファーの大きさにあると気付きます。
Q150は既述の通り130㎜口径なのに対し、Q350は165㎜口径が採用されているのです。
ツイーターはどちらも25㎜で、違いはありません。
Q150とQ350
エンクロージャーに関しても、ウーファーの大きさに対応して、Q350の方がひと回り以上大きくなっています。
音質的にはどちらも傾向としては同じで、高音は伸びはあるものの柔らかめ。
耳に刺さるような刺激は感じないものです。
中音も、ボーカルがガツンと前に出るタイプではないものの、クッキリとクリアに再現する音質。
低音は、ウーファーの口径が大きい分、より量感が増しスケール感が広いと認識して良いと思います。
写真はQ350
ただし、その低音の量感とエンクロージャーの大きさから、Q350はデスクトップ用に相応しいとは言い難く、しっかりスピーカースタンドに置いて使うのが正解でしょう。
Q150では低音が物足りないと感じそうなユーザーには、Q350を選んだ方が満足度が高いかも知れませんね。
KEF Q150にはどんなアンプが似合う?
Q150は、全体的に落ち着いたじっくりと聴き込んでみたくなる音質であり、ドンシャリ感は薄いことで、アナログ傾向の強いスピーカーだと思います。
音圧レベルは86dB(2.83V/1m)あり高能率なので、高出力なアンプは必要ありませんが、どちらかと言えば最近話題のデジタルアンプより、アナログアンプの方が音質的にしっくり来るでしょう。
またエントリークラスのモデルなので、あえてハイクラスのアンプも必要ないですね。
そうやって考えて、日本のメーカーでリーズナブルなモデルを探すと、マランツやデノンあたりが視野に入ると思います。
マランツ PM6007
だとすればアナログ志向の強いマランツのPM6007か、デノンのPMA-600NEあたりがターゲットになりますね。
で、どちらかに絞るとすれば、落ち着いたQ150に対し逆にダイナミックなPMA-600NEの方が、相性が合うのではないでしょうか。
デノン PMA-600NE
あくまで好みの問題なので、PM6007がダメと言う訳ではないですが、どちらかと言えば、PMA-600NEの方がQ150のポテンシャルを引き出せる気がするんです。
また予算があれば小型のもので良いので、真空管アンプも試してみたいものですね。
では実際に、Q150を愛用しているユーザーの皆さんは、本機にどんな感想を持っているのでしょうか?
いくつかユーザーレビューをピックアップしたので、次の頁でご覧になってみて下さい。
KEF Q150のユーザーレビュー
★「アコースティック、クラシックのスピーカーとして素晴らしい出来。エージングはすぐに起きて、少し鳴らすと豊かな音になる。ピアノ、弦の音はきかせてくれる。低音抑制のスポンジがついてるが、それよりはスパイクを買って低音を締める方がはるかに良い。苦手なのは、キラキラ輝くような電子音。刺激のある音が欲しいなら、これを選ぶべきじゃない。」
★「初めてのスピーカー購入だった。Q350と迷ったが、届いたスピーカーを見ると思ったより大きかったので、オーディオ初心者としてはこちらで良かったと思う。音は最高!」
★「デザインはシンプルで結構好きだがチープだ。質感としてはペア1万円前後の製品と同等だろうか。ブラック・ホワイトのヘアライン調シートは、安い中国製品に見られるような安っぽさ全開だったため、ウォルトナットを購入。高音はキラキラしたり突き刺さるようなこともなく、素直な音だ。アルミツイーター故の妙な癖もなく聴き疲れしない。中音も高解像度かつ素直で、聴きやすい音だ。ただ音量を上げていくと、少し箱鳴りするのが気になる。低音の音質は40Hzくらいまできっちり出る。サブウーファー要らずだ。なんといっても同軸故の点音源と定位感の良さが、最大のメリットではないか。」
★「見た目に反して調和が取れたバランスの良さと、聴き疲れのしない低音が気に入った。デスクトップで使っているが、定位感はないものの、精細さや耳に染みる感じは味わえた。能率が良いので、10Wの管アンプで鳴らして楽しんでいる。」
KEF Q150の魅力 (評価)
KEF Q150は、現在の日本の住宅事情から考えると、非常に適したモデルではないかと思います。
普通に、ピュアオーディオスピーカーとして使いやすい大きさで、デスクトップスピーカーとしても、何とかPCと共存できるギリギリのサイズでもありますからね。
本機のおすすめの使い方は、大音量でガンガン鳴らすよりも比較的音量を絞って、楽器の定位の良さをじっくり楽しむこと。
音量を絞り気味にしても、低音から高音までのバランスが崩れないので、低音不足にならないのです。
参照:サウンドテック
全体的に解像度が高いながらも、割とゆったりと奏でる音質であり、小編成のクラシックやジャズバラード系の音楽がピッタリ来ますね。
本機の上級機であるQ350も似たような音質ですが、ウーファーが大きい分、よりスケールのある低音を再生します。
しかしこちらは、本体がユニットのサイズからすると大きいので、デスクトップのようなニアフィールドではなく、少し広めな部屋で鳴らすことを前提にしないといけません。
取り回しの良さを優先すると、Q150の方を選んだ方がベターな気がします。
本機は小形スピーカーであっても、じっくり音に聴き入りたいユーザーに相応しい、ブックシェルフスピーカーシステムだと思います。
ペアを組むアンプは、やっぱりアナログアンプがお似合いでしょう。
小形の真空管アンプを選んでも、きっと良い味を出すのではないでしょうか。
または
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