オーディオ用スピーカーと言えば、最近はウーファーが12㎝~13㎝程度の、ごく小型のブックシェルフモデルが人気です。
小さくても、音質が良いものが多いですからね。
ただ、エンクロージャーの容積が小さいだけに、低音の迫力や音のスケール感を表現するには限界があります。
そこで、サブウーファーを追加する手段を取る人もいますが、スケール感の大きさを特に重視するなら、初めからフロア型モデルを購入するのも1つの手です。
と言っても、フロア型となるとスペースを取るので、狭い部屋にはちょっとなぁと感じてしまうかも知れませんね。
もし、例えばあなたが大型テレビの両横に少しスペースがあるなら、同じフロア型でもスリムなトールボーイモデルを選んではいかがでしょうか。
ドンシャリではない落ち着いた音が好みなら、「ヤマハ NS-F500」を選択肢の1つに入れてみるのも良いでしょう。
今回は、このNS-F500をユーザーレビューを参考に評価し、ブックシェルフ型とは違う魅力に触れてみたいと思います。
ヤマハ NS-F500の特徴
写真協力 株式会社アバック
NS-F500は、16㎝ウーファー・13㎝スコーカー・3㎝ドームツイーターの3ウェイ構成で、本体が幅22.4㎝x高さ98.1cmx奥行き34.9㎝の大きさです。
正面からだとスリムに見えても、高さと奥行きが結構あることで、小型ブックシェルフと比べれば容積は大きいと思います。
重さも20㎏近くあり加えてバスレフ構造ですから、大口径とは言えないウーファーから、しっかりした低音再生が期待できます。
ツイーターはヤマハらしくキツイ高音ではなく、透明感のあるスッキリした音。
しかし、本機は実は中音の再生に力を入れており、ボーカルが情感豊かに響き渡るような味付けをしています。
全体的に音が前に張り出すと言うより、奥行き感のある音場感を目指した設計になっているんです。
ちなみに、ツイーターは100kHzまでの高域再生が可能ですから、しっかりハイレゾ再生も楽しめますよ。
本機には、同じシリーズの上級機にNS-F700があり、これはエンクロージャーは別物でもユニットは共通のものを搭載しています。
大きさそのものも同じくらいですが、本体はより重く丈夫に作られています。
その分響きが良くなっていますが、NS-F500も作りはしっかりとしているので、NS-F700に準じた音質が得られます。
コストパフォーマンスを考えると、本機の方が上回っており、お買い得感の高いスピーカーシステムと言えるのです。
では実際には、どんな音質を奏でてくれるのでしょうか?
すでに愛用しているユーザーの皆さんのレビューを参考に、確かめてみましょう。
ヤマハ NS-F500のユーザーレビュー
★「高音はきらびやかで、良く伸びるサウンドだ。金属製ドームツイーターなので、シンバル等はビシッと解像し爽やかに鳴らす。ボーカルも良く伸びてとっても良い音だ。それでいて刺さり感は無いので、ヤマハ様の技術力の素晴らしさを感じる。中音の音質はボーカルがここまで深く、リアルに沈み込むサウンドは他には無い。密度感もありつつ、奥行き感もしっかり表現する。低音はかなり低いところまで良く出る。口径は小さいのでキレがあり、重低音はバスレフポートから出る。音はしっかり出るのに違和感がないので、箱の作りも良いのだと思う。ローボードタイプのテレビ台の脇に設置するとピッタリ。幅は約22㎝とスリム。だが奥行きが30㎝以上あるので、そこだけ注意。」
★「前作の325シリーズからCPが高く音が良いとの定評があったが、F500は更に熟成させ大変よくできたスピーカーだ。ホームシアターと音楽再生の両方がターゲットなので、もちろんきらびやかな高域・量感のある低域で、メリハリのある味付けになっているが、謳い文句通りスコーカーも専用ユニットになっていて、中域の質感が良く音楽が楽しく聴ける。オールマイティでどのジャンルでもいける。F700とは同じように見えるが、音量を上げてもF700は音が砕けず力量の違いが出てくるものの、一般の家庭内の音量ならばそれほど劣るものではない。同クラスの国産機はもっとメリハリがきついように思うが、この機種はナチュラルな味付けになっている。」
★「ホームシアターとしてではなく、オーディオ再生に使用している。低音以外の音域については全く不満はない。ただ問題は低音だ。19.1㎏と軽いせいかビビる。低音がバンと鳴るときに持ちこたえてくれよ・・・と思ってしまう。これなら+6㎏重いNS-F700にすればよかったかなあ。もしNS-F500とNS-F700で悩んでいる方がいれば、間違いなくF700をお勧めする。」
★「ヤマハ独特の鏡面加工がすばらしい。ルンバが物があるのに気付かず、何度も激突して傷が付いた位だ。50インチプラズマを囲むテレビ台の外側に配置したが、かなりかっこいい。音に関しては素人だが、以前持っていたヤマハの安物とは比べ物にならない程良い音だ。」
ヤマハ NS-F500の評価
ここからは、私がNS-F500の評価をして行きます。
NS-F500は本来、ホームシアターシステムのメインスピーカーとして設計されています。
しかし、さすがヤマハ製だけあり、ピュアオーディオ2chスピーカーとして使ってもなんら違和感のない、実力を持ったモデルですね。
デザイン的に大型テレビの両側に置くとピッタリですが、オーディオラックを挟んで置いてもカッコ良いので、大いにオーディオスピーカーとして評価すべきです。
で、音質ですが、鳴り方そのものはブックシェルフとは、やっぱり異なるものです。
中低域の充実感は、当然のようにエンクロージャーの容積が多い本機が有利。
ウーファーの口径が大きければ、それで重低音が豊かと言う訳ではなく、ユニットを支えるエンクロージャーの大きさや丈夫さに、随分と影響されるのです。
とは言っても、本機は決してドンシャリタイプではなく、低音を響かせてポップスをガンガン鳴らすタイプではありません。
簡単に表現するなら、澄み切った高音にバランス良い中低域を再現するスピーカー、と言えば良いでしょう。
つなぐアンプにより大きく音が変わるタイプではなく、音楽ジャンルに縛られることもありませんが、メーカーが主張するようにボーカル入りの曲と相性が良いようです。
中域成分に当たるシンガーの声が、クッキリと前に出るように聞こえるんですね。
またレビューに多いNS-F700との比較ですが、そりゃやっぱり並べて聴けば、同じユニットを使っていてもF700の方が良いのは当然。
エンクロージャーがさらに重くしっかりしているので、特に大音量で鳴らした場合、低域の響きに余裕があると思います。
ただF500を自宅で使うことを前提にすれば、あえてF700にこだわらなくても、エンクロージャーがユニットに負けてしまう可能性はないでしょう。
ほぼほぼの音量で鳴らす限り、オーケストラの迫力を真面目な音で楽しめるハズです。
小さなブックシェルフでは迫力が物足りないと思う人が、サブウーファーを使わないで中低域を充実させたいなら、本機をおすすめしたいと思います。
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