『モノラル音声のメリット』そもそもモノラルってどんな意味?音が良いの?

 

いつも聴いている音楽、あなたは普段イヤホン(ヘッドホン)、それともスピーカーで楽しんでいますか?

どちらを使っているにせよ、きっとステレオ音声で聴いていることでしょう。

 

これをステレオではなくモノラルで楽しむなど、考えたことはあるでしょうか?

世の中にまだステレオが普及する前には、レコードはモノラルで聴いていたものです。

今は音楽はステレオで聴くのが当たり前ですが、それでもモノラルで聴くと言う風習はまだ残っているんです。

 

では、わざわざモノラル音声で音楽を聴くメリットは、どこにあると言うのでしょうか。

今回はモノラルの意味や、モノラルの方が音が良いと言われる理由を交え、そのメリットに付いて述べてみたいと思います。




 

そもそもモノラル音声ってどんな意味?

 

 

昔の真空管ラジオやトランジスタラジオは、スピーカーは1個だけ付いているのが普通でした。

これは元々スピーカーから流れる音が、1つのマイクで録音されていたので、出力する側も1つで事足りたのです。

 

もちろん複数の楽器の音を捉えるために、複数のマイクを使うことはありますが、それぞれはミックスされ1個の音として録音されていました。

1つの音として録音されていれば、聴く側のスピーカーも1個で済みますよね?

 

これをモノラル音声と言う訳ですが、モノラルには “1つの” と言う意味があるのです。

音源も出力音も1つである以上、広がりを感じない音であり、普通に聴けば迫力のない音・つまらない音に聞こえることでしょう。

 

これが、例えば2つの楽器で音楽を演奏するとして、それぞれ別々のマイクで録音するとしましょう。

1つのマイクでピアノを、もう1つのマイクでギターを録るなどですね。

 

そして左右別々のスピーカーを使い、同時に再生すれば立体的な音に聞こえます。

これが基本的な、ステレオ録音/再生の音になるのです。

 

ステレオ音声を初めて聞いた人々は驚き、その後、次第に音源はステレオ録音が当たり前になって行きました。

では実際に、モノラル音声とステレオ音声はどう異なるのか、同じ曲を使ってその違いを確かめていただきましょう。

違いをはっきり把握していただくため、スピーカーではなく、ぜひステレオイヤホンかヘッドホンでお聞き下さい。

 


協力 なまちゃんねるさん

 

モノラル音声のメリットとは?

 

 

モノラル音とステレオ音の違い、実感していただけたでしょうか?

モノラルは音が全体的に集中するのに対し、ステレオの方は、音が左右に広がっていることがお分かりだと思います。

 

人間の耳は左右にありますから、やはりステレオで音を聴くのが自然に感じるんですね。

会議など、複数の人が会話しているシーンを録音する時も、1本のマイクを使った場合と複数のマイクを使った場合では、当然聞こえ方は違います。

 

ステレオで録った方が、それぞれの人の声が分離して、何を話しているのか聞き分けやすいんですね。

ところがモノラルマイク1本だと、マイクの近くにいる人の声は良く聞こえるけど、離れた人の声は聞き取りにくく感じることがあります。

 

こうして考えてみると、モノラル音声のメリットは何もないじゃないか、と思われるかも知れませんね。

しかしモノラルだからこそ、際立つメリットがあるんです。

 

街中で特定の人の声を、できるだけ明瞭に録音したいとしましょう。

街中では他の人の声や騒音など、色々余分な音が発生しています。

 

この状況でステレオマイクを使い録音すると、余分な音も多く拾ってしまい、肝心な特定の人の声が聞き取りにくくなってしまいます。

そんな場合、1本の指向性の高いモノラルマイクを使うと、周囲の音がカットされ特定の人の声が良く聞こえるようになるんです。

 

FMラジオ局はステレオ放送をしていますが、DJの声はマイク1本でモノラルにしています。

こうすることでバックの音楽と重なっても、DJの声が埋もれずに聞こえると言う訳なんですね。

 

これは、オーディオコンポで音楽を聴く時も同じことが言えるでしょう。

音楽ジャンルで、ボーカルが好きな古くからのオーディオファンの中には、モノラル録音されたレコードアルバムを選ぶ人が多くいます。

 

なぜかと言えばモノラルの方が、バックのオーケストラよりボーカルの声が浮き立って、ツヤやかに聞こえるからなんです。

その分、楽器が奏でる迫力はステレオ録音より劣るものの、ボーカルの声を優先に味わいたいと考えてモノラルのアルバムを手にするんですね。

 

アメリカのジャズシンガー「ヘレン・メリル」のヒット曲で、「You’d Be So Nice To Come Home To」があります。

この曲は昔の曲と言うこともあり、モノラルで録音されています。

 

ですがそのために、ヘレンのボーカルがとても前に張り出して、魅力的な声に聞こえるんですよ。

どうぞお聴き下さい。

 


協力 gattenshouchiさん

 

いかがですか。

モノラル録音ならではの、うっとりする声になっていると思いませんか?

 

私は特にモノラル愛好家ではありませんが、この曲が収録されているアルバムが好きで、愛聴盤になっています。

ちなみに、このアルバムをアナログレコードで聴く場合、レコードプレーヤーのカートリッジは、モノラルカートリッジを使用することをおすすめします。

 

モノラルレコードには、溝の左右にしか音声信号が刻み込まれていないので、針が基本的に左右しか動かないモノラル用が適しているんです。

ステレオレコードには左右だけでなく、溝の底にも信号が刻み込まれています。

 

なのでステレオカートリッジの針は、左右だけなく上下にも振動します。

モノラルレコードには底に音声信号がないのに、ステレオカートリッジはここにも接触して、信号を拾おうとするんですね。

 

そのため、底にあるホコリやチリに触れてしまうことがあり、これをバックノイズとして拾ってしまいます。

少しでもノイズを減らしクリアな音を得るために、モノラルレコードにモノラルカートリッジをおすすめするのはこのためなんですよ。

 

なお私のように、モノラル録音された曲をCDで持っている方は、そのままお持ちのCDプレーヤーで再生しても悪影響はありません。

もしあなたが古いボーカル曲が好きでしたら、このようなモノラル録音盤にも興味を持ってみてはいかがでしょう。




 

ラジオ放送をBGMとして聴くのならモノラルラジオがおすすめ

 

 

あなたが、オーディオコンポでステレオサウンドを効果的に堪能するには、左右のスピーカーの真ん中より少し後ろへ距離を置き着座して、視聴する必要があります。

そうしないと音が偏ったりして、本来の左右の広がりや、立体感を味わうことができないのです。

 

しかし普段、仕事中のBGMとしてラジオ放送を聴いていのなら、聴く位置が変わっても音の定位が変化しない、モノラルラジオを使うのがおすすめです。

モノラルならラジオを正面側に置いて聴く限り、左へ寄っても右へ寄っても、音の聞こえ方が変わらないからです。

 

とは言っても、数千円のラジオではチャチな音でしか鳴らないので、音質的に不満が起こることでしょう。

モノラルでもコンポに迫る音が欲しいと望むなら、こんな素敵な据え置き型ラジオに注目して下さい。

 

それは「チボリオーディオ Model One BT」です。

スピーカーを1個だけ内蔵したモノラル仕様ですが、音はオーディオ的で長時間使っても聴き疲れしないのが特徴なんです。

 

デザインもレトロでお洒落ですから、店舗でBGMを流すのにも最適な “オーディオコンポ” だと思います。

価格的にはラジオの域を超えていますが、こだわりのあるあなたなら、一度購入を検討しても良いかも知れませんよ。

 

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6件のコメント

  • ケイタマ

    モノラル録音をモノラルカートリッジで聴くというくだり。

    モノラル録音ではなく、モノラル盤でプレスされた当時のオリジナルがそれに該当するのです。再発盤では全く意味がありません。

    私はモノラル盤の7インチ、しかもUSAオリジナルの蒐集家ですが、モノラル盤7インチも紹介してもらえるといいですね。

    • オーディオ情報屋

      ケイタマ様、コメントありがとうございました。
      おっしゃる通り、モノラルカートリッジを生かした音質を堪能するには、再発盤ではなく当時のオリジナル盤でないと本領を発揮できないことでしょう。
      ただ、このブログの中でレコードの詳細まで踏み込んでしまうと、「初心者の方へオーディオコンポの楽しさを理解していただくこと」から主旨がずれてしまいますので、あえて触れないでおこうと思っています。
      今回はステレオ音源が当たり前の時代に、「モノラル音源が、一部でなぜもてはやされてるのか」をテーマに触れさせていただきました。
      ご理解をいただければ幸いです。
      またご意見があれば、ご遠慮なくコメントをお寄せください。

  • ちあき

    2022元旦になんとなくモノラル再生を試して、僕はモノラルの方がボーカルが立つので好みだなぁと感じてました。そんな事をツイートした後に検索してこちらにおじゃましました。
    興味深い記事がたくさんあるので今から楽しませて頂きます!

    • オーディオ情報屋

      ちあき様、コメントありがとうございました。
      管理人の林と申します。
      このブログはできるだけ難しい用語など使わず、オーディオ初心者の方にもできるだけ理解しやすいよう、内容を吟味することに努めています。
      ご覧いただいて、もし分かりずらいところがありましたら、お気軽に質問して下さい。
      私の知識の範囲内で詳しくお答えします。
      どうぞよろしくお願いいたします。

  • まつくん

    モノラルには “1つの” と言う意味があるのです。

    こちらの部分ですが、“モノ”には“1つの”という意味がある、の方が良いのではないかと思われます。
    細かいツッコミではありますが、情報ブログとして、細かい部分も正しい情報をお伝えするべきであると私は思いますので。

    • オーディオ情報屋

      まつくん様、コメントありがとうございます。
      ブログ管理人の林と申します。

      >こちらの部分ですが、“モノ”には“1つの”という意味がある、の方が良いのではないかと思われます。

      上記の件に関しまして、あなたのおっしゃる通りでしょう。
      モノラルには1つのと言う意味があるので、文中でも”1つの”と言う言葉を使っています。
      ただ今回の場合、オーディオ的に「ステレオ音源」に対してそうではない音源を、「モノラル」と言うことで記述していると解釈していただけると幸いです。
      宜しくお願いします。

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