出典:PRTIMES
私は時々、オーディオ仲間の人のお宅へ伺うことがあります。
ある日、そのうちの一人の方のところへ行くと、立派なブックシェルフスピーカーを所有しているのに、これからサブウーファーを購入するんだと、あれこれ物色していました。
そこで彼に、スピーカーの低音不足に悩んでいるのかと問うと、そうではないとの答えが返ってきました。
現状を私が聴いてみると、確かに低音が足りないようには感じられず、このままでも充分不満のない音質のコンポであるように思いました。
また彼とは別に、オーディオ関連のネットサイトで、アンプとスピーカー、さらにサブウーファーは何を選んだら良いのかと、質問を投げかけている人を見つけました。
この方は、初めてオーディオコンポを購入するにもかかわらず、サブウーファーも同時に求めているようです。
この二人に共通することで私が疑問に思うのは、なぜ現状でサブウーファーが必要だと思っているのかと言うこと。
鳴らし方を工夫をしても低音の不満が解消されないのなら、その時点でサブウーファーの追加を考えるべきではないかと・・・。
そんな訳で、サブウーファーなどいらないような人が、なぜそれを手に入れようとするのか、本当にそんな必要があるのか、今回迫ってみたいと思います。
サブウーファーを使って重低音を鳴らすことが良い音とは限らない
サブウーファーは、スピーカーシステムが再現しにくい重低音域、大体20Hz~120Hzあたりを再生するスピーカーです。
オーディオ機器として比較的古くからあるもので、昔は “スーパーウーファー” と呼ばれていました。
サブウーファーが特に注目されるようになったのは、5.1cHなどのホームシアターが普及し始めた頃からだろうと思います。
SF映画の効果音など超低音域を再生するのに、サブウーファーを活用すると、リアルな感覚を覚えるからですね。
ただ、映画で再生される超低音、つまり重低音が現実の音に近いかと言うと、必ずしもそうとは限りません。
視聴覚の迫力を演出するために、重低音を使って誇張しているのです。
一方、サブウーファーをホームシアターではなく、2cHピュアオーディオシステムに導入するとしましょう。
このシステムでサブウーファーを導入する動機は、既存のスピーカーでは重低音再生が難しい場合です。
でも前述のオーディオ仲間の方の場合、現在所有しているスピーカーで、十分な低音再生がなされていました。
少なくとも、私の耳にはそう感じられたのです。
彼自身も、特に低音不足に悩まされている訳ではないとのこと。
ところが彼の話によれば、愛用しているスピーカーは再生音域が45Hzからなので、もっと低い音域の音を聴いてみたいんだそうです。
20Hzから再生できるサブウーファーを加えたら、より迫力ある音が得られるんじゃないか、と言うんですね。
確かにサブウーファーの多くは20Hzを再生できますが、もっと高い音域も出力してしまいます。
既存のスピーカーの再生音域とも被ってしまうので、下手すればダブついた再生音になってしまうでしょう。
なので私は、トーンコントロールのバスを思い切り絞る必要があるかも?とアドバイスしましたが、彼曰く、アンプのトーンコントロールは使いたくないとのこと。
私は根本的に、彼がサブウーファーを加える根拠は間違っていると思いますが、まぁオーディオは趣味の世界のことなので、ここは見守ることにしました。
果たして実際にサブウーファーを追加して、全体的にどんな音に変化するのか興味あるところです。
それからネット上で、おすすめのコンポを質問していた方の話です。
まだ、サブウーファーのない状態の音も聴いていないのに、最初から購入ありきでシステムを組むのもどうかと疑問に思います。
本来なら、どんなアンプとスピーカーの組み合わにしても、まずはサブウーファーを除外して選定をするべきですね。
オーディオの音質は機器そのものだけでなく、設置する部屋の環境にも随分影響されます。
しかし購入するスピーカーが小さくて、重低音再生に関しては不利かなと思っても、取り敢えず決めた場所へ設置してみることです。
しっかりと設置することで、期待した以上の音質が得られることもありますからね。
それで満足できるのなら、サブウーファーなど購入する必要はなくなるでしょう。
もし設置をちゃんと行ったのに、思うような低音再生ができないのなら、その時こそ購入を考えれば良いのです。
サブウーファーは食品に例えたら、調味料みたいなものですからね。
塩気が足りないから、もっと足す感覚で追加するのが良いと思います。
そもそもサブウーファーを標準装備したミニコンポはない
あなたがお持ちのコンポのスピーカーを、正しく設置しても低音再生に不足を感じるなら、それを補うためにサブウーファーをを加えるのは有効です。
しかしそう言うことも考えず、最初からサブウーファーありきで、システムに組み込むことには疑問に感じます。
実際に市販されているミニコンポを見ても、サブウーファーを標準装備しているモデルはありませんからね。
ホームシアターには、ラインナップにそれを用意したモデルはありますが、それでも標準装備ではなくてあくまでも別売り。
2cHピュアオーディオコンポでは、左右2本のスピーカーシステムで音を鳴らすのが、基本になっているんですよ。
なので、メーカーもサブウーファーを使わないシステムで、ピュアに低音も再生できるよう設計しています。
ただ、それでも音を鳴らす部屋の環境によっては、どうしても低音不足を感じることはあるでしょう。
そこで、ミニコンポはサブウーファーこそ装備してはいませんが、モデルによってはレシーバーにサブウーファー端子を備えたものが存在します。
お好みで、ここにサブウーファーをつないで楽しんで下さいね、と言う訳です。
サブウーファーはあくまで脇役であり、主役ではないことが分かりましたか?
サブウーファーはオーディオコンポの麻薬のようなものだ
前項で、2chオーディオコンポの世界では、サブウーファーを使わない再生が基本だとお伝えしました。
これを使うことなしに、設置方法や部屋の環境を工夫することで、不満のない低音再生をするのが筋なのです。
もちろん、高音域の再生だって同じですよ。
しかし、人間の耳(脳?)って不思議ですよね。
元々音源にない重低音が人工的に加わると、これいいじゃん!となってしまう人が多いんです。
メーカーは人工的な音と分かっていても、ユーザーが求めるならそれに応じて、どうぞサブウーファーをお買い求め下さいとすすめます。
結局、オーディオファンに取ってサブウーファーには、麻薬みたいなところがあるんですよね。
いくらそれが危ないシロモノだよと告げられても、使ってみたら心地良くてやめられなくなったら、どっぷりと浸かってしまうのです。
本来ならいらないハズのものなのに、重低音の虜(とりこ)になってしまうと、つい買ってしまうのがサブウーファーの怖いところ。
いえいえ、魅力のあるところなのでしょう。
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