すでにオーディオコンポを所有しつつも、まだ比較的リスニング歴が浅い人が、次のステップアップには何を狙うか考えることがあると思います。
もしステップアップを図りたい理由が、もっと音のスケール感が欲しいと言うことなら、スピーカーの交換を視野に入れると良いかも知れません。
現在の機材がデスクトップオーディオで、小型ブックシェルフスピーカーを使っているとしたら、単純にフロア型モデルに交換すれば解決することでしょう。
でもフロア型はトールボーイタイプでも、それなりに広いスペースが必要になることで、選択肢からは外れてしまうこともあるに違いありません。
ならば、ややサイズが大きめのブックシェルフ型タイプを、狙ってみるのも良いのではないでしょうか。
その中で、効果的にスケールを出すスピーカーとして、このモデルを考えてみてはいかがでしょう?
それは「DALI OBERON 3」です。
比較的大きなウーファーを搭載しながらも、小型ブックシェルフ型の仲間に入る2ウェイスピーカーです。
今回はこのDALI OBERON 3を、ユーザーレビューを交えながらその魅力を追求し、評価して行こうと思います。
DALI OBERON 3の特徴
DALI(ダリ)はデンマークに本社を置くオーディオメーカーで、ZENSOR 1のヒットによりオーディオ初心者の方でも、名前くらい聞いたことがあるのではないでしょうか?
今回注目しているOBRON 3は、ZENSORシリーズに代わる新しい同社の、エントリークラスのブックシェルフスピーカーの中核モデルです。
現在ブックシェルフタイプでは、100㎜~130㎜ほどのウーファーを採用したものが主流で、日本でも人気になっています。
デスクトップオーディオを始めるのなら、これくらいのサイズのスピーカーが邪魔にならなくて良いのでしょう。
ただモデルによっては、低音不足やスケール不足を感じさせるものがあり、サブウーファーを追加して補強する方もいると思います。
でも、接続が面倒だとか結構場所を占拠することで、導入を控えている向きもあるかも知れませんね。
ならば、あまりエンクロージャー(キャビネット)を大きくせずに、ウーファーユニットを大きくしたモデルで不満を解消できたら、と考えたりはしないでしょうか?
そんな場合に、このOBERON 3を候補に入れると解決の方向に導けます。
本機は180㎜口径ウーファーと、29㎜ドームツイーターの2ウェイシステムです。
ウーファーの口径が比較的大きいことで、重低音が強くスケール感も豊かなサウンドが期待できるんですね。
とは言っても外形寸法を幅200㎜x高さ350㎜と、使用するユニットの大きさの割に、正面のサイズを抑えています。
前面サイズをそれほど大きくせず、スケール感をアップできた要因としてバスレフ方式を採用し、さらに本体の奥行きを長めにしたことがあります。
奥行きを315㎜と長くしたことで、低音のエネルギーのカギを握る、本体の容積を大きく確保できた訳なんですね。
さらにウーファーに、高磁力を持つSMCマグネットを新採用したことも、力強い低音再生に貢献しています。
これらの施しで、デスクトップに設置するにはやや苦しいものの、省スペースでの音質のグレードアップが図れるのです。
今回のOBERON 3はシリーズ全体で、以前のシリーズと違いユニットを外注せず、内製化することで音質の傾向も変えています。
SENSORシリーズの少しこじんまりとした感じから、中高音のきらびやかさを前に押し出す感じになりました。
全体的に明るい暖色系の音へと変化したのです。
ではもっと本機の音質が分かる、あるユーザーの方が作った比較動画ありますので、ご覧いただきましょう。
これで、本機の実際の音質が確認できるものではないですが、動画内の4機種の音を聴き比べることで、音の傾向の違いを感じられると思います。
協力 Audio Waiwaiさん
いかがですか。
ウーファーの口径が他の機種より大きいこともあり、本機が最も低音の重みと厚みを感じたのではないでしょうか?
また、ボーカルが前に浮き出る感じも確かめられたでしょう。
次に、すでにOBERON 3を愛用しているユーザーの皆さんは、本機にどんな感想を持っているでしょうか。
いくつかレビューを集めましたので、次の頁で確かめていただきたいと思います。
DALI OBERON 3のユーザーレビュー
★「本機をデスクトップで使っている。私の部屋は6畳で机幅は120㎝だ。豊か過ぎた。低音。サブウーファー要らない。”FOSTEXの密閉型が最高” と思って生きてきたが、OBERON 3単体でとても品のいい低音。余韻も締りも自在に表現できている。10畳以上の広い部屋でも音楽メインなら、サブウーファーは要らないのではないだろうか。高音について特にボーカルの声が、何枚もベールを脱ぎ耳に入って来るような明瞭な感覚は、さすがDALIだと思った。ドアを開けっ放しで部屋を出ても、歌詞がはっきり聞こえる。小さな音量でも。」
★「デザインは武骨でシンプル。高音の音質はフラットで良く伸びるし、聴き疲れしない。中音の音質は艶がありそこそこ良い。低音の音質は量は出るが締まりがないと初め思ったが、エージングが進んだことで締まりが出てきた。サイズはウーハーのサイズから言うと適当。ニアフィールドで小音量の再生でも音が痩せないのは良い。ボーカルは艶がありこれも良い。」
★「組み合わせのシステムによって変動があると思うが、奇麗な音を出すスピーカーだ。JBLのブックシェルフと比較するとパンチがない。中音の伸びは良いのだが、低音と高音のメリハリが弱いように感じる。」
★「DALI純正スピーカースタンドに載せて使っているが、自分史上最高の音質で音楽や映画を楽しめている。部屋幅2メートル長さは11メートルほどの狭いアパートの部屋だが、以前トールボーイ使用時に籠って聞こえていた全音域が、DALIのブックシェルフで一気に激変した。アンプのせいかなと思いアンプの交換も考えたが、スピーカー交換による影響の大きさを実感した。OBERON 1と悩んでいる方は長く使うものであれば、出費を惜しまずにOBERON 3を購入することをお薦めする。」
DALI OBERON 3の評価
ここからは以上の記述を踏まえた上で、私がOBERON 3の評価をしてみたいと思います。
DALIのスピーカーと言えば、一般的に評価されているのは、奇麗で聴き疲れのしない音質であること。
クセのない音であることで、特にオーディオ初心者に向いていると言われて来ました。
OBERON 3は、このDALIの持つ良さをブラッシュアップし、、小型ブックシェルフモデルの中でややサイズを大きくして、より広がりのある音質を実現しています。
180㎜口径のウーファーは、パッと見ると、コーン紙にすり傷のようなものがいくつも付いています。
これが新しい振動版のウッドファイバーコーンで、ユニットの内製化を施した証と言えるものなんです。
一方、29㎜口径のソフトドームツイーターは、従来のものより高い音域から低い音域までカバーすることにより、ウーファーとの音のつながりをスムーズにしています。
全体的に低音から高音まで、良く伸びたサウンドが楽しめるんですね。
この傾向は、本機よりふた回りほど小さなOBERON 1でも同様です。
ただし、OBERON 1はウーファーユニットが130㎜口径。
180㎜口径のOBERON 3とは、やはり低音域の再現性に差があります。
ツイーターは両機とも同じものを使っているため、音のバランスでは、どうしてもOBERON 1の低音は軽く聞こえてしまいます。
そもそも低音域の再現性に不満を持つ方には、OBERON 1の音質の傾向が好きになっても、購入の決定打にはならないでしょう。
と言う訳で、サイズを抑えた小型ブックシェルフスピーカーの中で、艶やかなボーカルときらびやかな高音、そしてスケールのある低音を再現するモデルとなると・・・。
それに加えて音楽ジャンルを選ばないものとなれば、OBERON 3に軍配が上がるのではないでしょうか。
しかし、エントリークラスの製品として本機はやや価格が高めです。
初めてオーディオコンポを手にする人には、若干敷居が高いと言えるでしょうね。
なので、すでにコンポを揃えている人が、スピーカーで音のグレードアップを図りたいと思った時に、購入候補に挙げるのにちょうど良いのが本機なのだと思うのです。
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