『レコードプレーヤードライブ方式』初心者ならベルトドライブ・ダイレクトドライブ・アイドラードライブを覚えて

 

今までCDやネット配信ミュージックを聴いてたけど、アナログレコードの面白さを知って、レコードプレーヤーに興味を持ったあなたもいることでしょう。

レコードプレーヤーの操作に付いては、スイッチポンで自動的に針を下ろしてくれるモデルと、その全てを自分で行うマニュアルモデルがあります。

 

まあ、この程度のことは知っていると思いますが、でもターンテーブル(近年はプラッターとも呼ぶ)は、どんな仕組みで回るのかお分かりですか?

実はレコードプレーヤーのドライブには、大きく分けて3つの方式があるんです。

 

それは現在主流のベルトドライブ方式と、ダイレクトドライブ方式、それに最も古くに開発されたアイドラードライブ方式ですね。

これらにはそれぞれ一長一短があって、ユーザーの好みで選べるようにラインナップされています。

オーディオ初心者のあなたが、もしこれからレコードプレーヤーを購入するなら、どのタイプが相応しいか参考にしていただけたら幸いです。




 

ベルトドライブ・ダイレクトドライブ・アイドラードライブそれぞれの仕組み

出典:phile web※リムドライブはアイドラードライブの別名

 

レコードプレーヤーのドライブ方式(駆動方式)で、現在多く製造されているのが、ベルトドライブ方式です。

これはモーターが、ゴムベルトでつながれたターンテーブルを駆動することで、レコードを回す仕組みです。

比較的メカニズムが単純で製造コストが安く、設計もそれ程難しくありません。

 

それから次に多いのが、ダイレクトドライブ方式。

モーターと駆動するターンテーブルが、スピンドル(ターンテーブルシャフト)と直接つながって、モーターとターンテーブルの回転数が一致するものです。

一見すると、最もメカニズムがシンプルに感じる方式がこれですね。

 

それから最も古くからあるメカニズムが、アイドラードライブ方式です。

モーターと駆動するターンテーブルの間に、ゴム製のアイドラー(ローラー)やギアをかませることで、回転数を制御します。

見た目にはシンプルなメカに思えるのですが、実際には意外に複雑です。

 

以上、三者三様のドライブ方式ですが、次の頁ではそれぞれの特徴について、誕生の古い順から触れてみましょう。

それぞれの特徴を知ることで、あなたもオーディオマニアの一員になれますよ。

 

レコードプレーヤー アイドラードライブ方式の特徴

 

トーレンスTD124(出典:アナログリラックス

 

レコードプレーヤーの中で一番古いドライブ方式は、アイドラードライブです。

モーターとターンテーブルの間には、アイドラーと呼ばれるゴムローラーをかませ、これが回転することでターンテーブルを回す仕組みです。

 

硬いアイドラーを介して重いターンテーブルを回すために、トルクの強いモーターを搭載しています。

スイッチを入れてからの立ち上がりが早く、力強い動きができますが、モーターの振動をダイレクトに伝えやすく、モーターゴロと言うノイズを発生させやすいです。

 

力強い動きができる反面、アイドラーの消耗も早く、部品交換などメンテナンスをしっかりやらないと、正確な回転が得られなくなる弱点もあります。

意外にメカニズムが複雑で製造コストも掛かるので、トータルで製品価格が高くなるのがネックですね。

 

レコードプレーヤーのドライブの主流が、ベルトドライブへ流れて行ったのも、自然なことでしょう。

ちなみに現在、新型のアイドラードライブ方式のプレーヤーは、製造されていません。

 

レコードプレーヤー ベルトドライブ方式の特徴

 

Rega Planar 1

 

現在最もポピュラーなドライブ方式なのが、ベルトドライブです。

モーターとはゴムベルトでつなぎ、ターンテーブルを回転させるもの。

 

モーターとターンテーブルに距離を置いて、またベルトがモーターの振動を小さくするので、滑らかな回転が得られるメリットがあります。

また小さめのモーターを使っても、回転数の速さでトルクを得られることと、メカニズムが比較的シンプルなことで設計が楽です。

なので全体として、製造コストを低く抑えられるのも良い点。

 

欠点としては低回転トルクが弱いので、スイッチを入れてからの立ち上がりが悪く、ベルト伝達のため回転ムラ(ワウ・フラッター)が大きいことがあります。

また使っているうちに、次第にゴムが伸びてしまうので、数年に1度ベルトを交換してやらないといけません

ベルトドライブのベルトは、消耗品と認識するべきでしょうね。

 

レコードプレーヤー ダイレクトドライブ方式の特徴

 

DENON DP-500M

 

今回紹介しているドライブ方式以外にも、実はいくつかの方式が存在するのですが、それらを含めたドライブの中でも最も新しいものが、ダイレクトドライブ方式です。

モーターとターンテーブルを、1本のスピンドルで直結した画期的な方法で、33 1/3回転でレコードを回転させる時はモーターも同じ回転数で回ります。

プレーヤーのメカとしては最もシンプルで、故障しにくいのがメリットです。

 

静かで安定性が良く、ワウ・フラッターがベルトドライブなら0.1%程のところ、高性能モデルなら0.025%の高性能を誇ります。

特別なメンテナンスも不要なことで、1970年代~1990年頃まで、日本では多くのモデルがダイレクトドライブを採用していました。

 

ところが、このダイレクトモーター自体の製造が技術的に難しく、かつてのオーディオブームが去り機材が売れなくなると、モーターメーカーが次々と撤退してしまいました。

モーターをオーディオメーカーで製造することはできず、現在残っている1~2社のモーターメーカーに今は頼っている状態です。

もしこれらのメーカーが製造を止めてしまえば、ダイレクトドライブは消滅してしまうことでしょう。

 

将来的にも、このドライブのメンテナンスを続けられる見通しが立っておらず、主力のオーディオメーカーは、設計・製造のたやすいベルトドライブにシフトしているのが現状なのです。

力を入れて設計・製造さえすれば、ダイレクトドライブが、最も先進的なドライブ方式と言えるでしょう。

 

レコードプレーヤーに最も適したドライブ方式とは?

 

 

ではレコードプレーヤーの購入を考えた場合、どのドライブ方式のモデルを選ぶと良いのでしょうか?

まずアイドラードライブは、3つの中で最も古くに開発されたもの。

 

トルクがあって力強い回転力が得られますが、モーターの振動がターンテーブルに伝わりやすいです。

メンテナンスも小まめにやらないといけないし、製造コストも掛かります。

そもそも、現在製造されているモデルがないので、自然と選択肢から外れてしまいます。

 

では、ベルトドライブはどうでしょう?

比較的振動も少なく、静かで安定した動作がマルです。

ゴムベルトが劣化しやすい弱点があるものの、交換すればそれで済むことで、故障しても修理しやすいメンテナンス性の高さが良いですね。

 

オーディオ的に一番注目したいのは、やはりダイレクトドライブ。

モーター軸にターンテーブルが直接つながって、どちらも同じ回転数で回ることから、静かで動きが安定していることに魅力を感じます。

またシンプルなメカのため故障が少なく、メンテナンスがほとんど不要なのもダイレクトドライブならでは。

 

ではレコードプレーヤーは、このダイレクトドライブ方式に決まりでしょうか?

いえいえそうとは限りません。

現在製造されているダイレクトドライブモデルは、かつてのオーディオブーム時代のそれと比べると精度が低く、高性能であるとは言い切れないのです。

 

それに、ダイレクトドライブモーターのメーカーが、いつまで製造を続けられるのか不透明で、将来的に故障した場合の対応に不安が残ります。

初心者のあなたがレコードプレーヤーを選ぶなら、価格は重要でしょうし、コストパフォーマンスの高さも気になることでしょう。

それを考慮すると “現時点” では、ベルトドライブ方式のレコードプレーヤーが、最も無難と言えるのではないかと私は思っています。

 

 

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