オーディオサウンドを堪能する方法は、左右2本のスピーカーで再現するピュアオーディオと、多数のスピーカーを使い5.1chや7.1chで再現するホームシアターが代表です。
そして新たに1台のスピーカーシステムで、左右上下360度を網羅する360Reality Audio(サンロクマル リアリティオーディオ)と言う方法が、このほど加わりました。
この方法を使い、ライブ会場にいるかのような雰囲気を楽しめる、アクティブスピーカーが話題となっています。
それが「SONYワイヤレススピーカー SRS-RA5000」です。
部屋のどこに置いて鳴らしても、その環境に応じた立体音響が味わえます。
このSRS-RA5000を、今回ユーザーレビューを参考に検証・評価してみましょう。
SONY SRS-RA5000の特徴と使い方
SRS-RA5000は、これまでにないコンセプトで開発された、新しいアクティブワイヤレススピーカーです。
たったこれ1台で360度の空間を取り巻いて、極めてリアルな雰囲気で音楽を演出すると言うシステム。
上向きに高さ方向の音場を再現する、46㎜口径のスピーカーが3つ。
水平方向の音場を再現する、これも46㎜口径のスピーカーが3つ。
そして底部に下向きに付けられた、70㎜口径のサブウーファーが1つ。
計7つのユニットで構成されています。
高さ方向と水平方向に設けられたスピーカーは密閉型、サブウーファーはバスレフ型構造です。
デザインはSONYらしい斬新な逆タル形で、美しいカタチになっていますね。
大きさは高さ329㎜x幅235㎜x奥行225㎜で、重さは約4.9㎏ですから、ワイヤレススピーカーとしては随分大きく重いです。
このクラスになるとさすがにバッテリー駆動は難しいので、本機にはAC100Vアダプターと電源ケーブルが付属します。
音楽の再生には家庭にあるルーターを介し、Wi-Fiでつなぐ必要があります。
そしてGoogleアプリやMusic Centerアプリを使い、本機とスマホを連携させて音を出すしくみ。
スマホには本機の最大の特徴である、360 Reality Audioを再生するためのストリーミングアプリを、Amazon musicやnugs.netからインストールします。
360 Reality Audioからの音源を本機で流すことで、360度に広がった臨場感ある音場を楽しめる訳なんです。
360 Reality Audioの概要に付いては、こちらの動画をご覧いただきましょう。
この360 Reality Audioのコンテンツを利用するには、別途に料金が必要となります。
本機を聴くスタイルは部屋の中心に本体を設置、その周りならリスナーはどこにいても、同じ音場効果が体験できるのがコンセプトです。
ただ実際には、常時本機を部屋の中心に置くのは難しいでしょうから、隅へ置くことも構いません。
それは、本機を設置するとキャリブレーションを行い、自動的に適切な音場空間を計算してくれるため、置き場所に悩む必要がないからなんです。
また音源は、一般のネットワークオーディオと同じように、ストリーミング音楽やスマホの音源を再生することも可能。
同じSONYのTVプラビアなら、対応のモデルでTVから出力される音を、ワイヤレスで本機で鳴らすこともできるんです。
それとBluetooth機能もあるので、これに対応した機器の音源も再生できるし、外部入力を使いケーブルでつないだ機器の音も出せます。
音質はSONYらしい、重低音がベースのどっしりした音。
ハイレゾももちろん再生できるので、伸びやかな音も楽しめますよ。
さらに一般の2ch音源を再生する場合に、広がりのある音で再現するImmersive Audio Enhancement(イマーシブ オーディオ エンハンスメント)機能も搭載。
疑似360度空間を作って、いつもの音楽をより心地良く仕立てます。
本機の使い方に付いては、ある量販店が動画で解説しています。
こちらも見ることで、本機をより理解できるでしょう。
協力 sonyseiwaさん
では次に、実際の使い勝手や音質はどんなものでしょうか?
すでにSRS-RA5000を購入し愛用している、ユーザーの皆さんのレビューで確かめていただきましょう。
SONY SRS-RA5000のユーザーレビュー
★「360 Reality Audioの音源がまだ少なく、現行の曲を聴く事が多いが、それなりに良い音で低音も迫力があり、そこそこ楽しめると思う。ただImmersive Audio Enhancementに関しては、作られた感じが強くて賛否あるかと。イコライザー機能もあるので調整は可能で、その辺で好みに合わせる事が望ましい。全体的にデザインも奇抜だし気に入って、毎日のように日常生活でBGMとして使っている。アプリのアップデートで、イコライザーの調整幅がもう少し細かくならないかな?」
★「Amazon music unlimited HDのみで再生可能な、360 Reality Audioは圧巻だ(月額高めだが)。周りに包み込まれるような感覚に陥る。少し大きな部屋で大きめの音で、360 Reality Audioを聴くという限定的な使い方だと満点だと思うが、普通の音楽を聴くとなると、人によっては微妙かも知れない。お店などで運用されると、オシャレでいいのかも知れない。」
★「BGM用途として考えれば、音が広がりやすいスピーカー配置であり良好だ。初期から変わらず全体的に低音が強く、高音が隠れている。当方イコライザーで低音を減らしているが、それでもきらびやかな高音はない。SRS-RA5000の音はしっかりした低音で迫力があり、女性ボーカルの声も艶やかに聞こえるので、中音域も得意。さらに音の解像度も高く、スピーカー自体は良質。でも高音域が弱く、透明感がもう少し欲しくなる感じだ。低音好きな方の心には刺さる音かと思う。」
★「ワイヤレススピーカーは使い勝手が良いのだが、音質的には限界があると思う。BOSEの製品やSONYの他のワイヤレスを数台試してきたが、どれも大差ない。SRS-RA5000は形状(外観)を見て期待をしたが、やはり音は平面的だ。でもこの価格でこれだけの音が出るのだから、満足しなければならないのかもしれない。」
SONY SRS-RA5000の評価
ここからは以上をまとめて、私がSRS-RA500の評価をしてみましょう。
本機は何と言っても斬新なデザインで、インテリアとしても非常に目を引き、所有する喜びを感じさせるものです。
そこから再生される音は、ズッシリとした重低音に支えられた音質であり、BOSEの音に近いと言えば分かりやすいかも知れません。
決してドンシャリではないので、聞き疲れすることもありません。
これをSONYの空間音響技術を駆使した、360 Reality Audioの音源を再生すれば、聴く位置を選ばない臨場感ある音場に変身する訳です。
今までなかった耳だけにとどまらない、全身で音を楽しむオーディオスピーカーと言うことができるでしょう。
と、ここまで記述して、一転して本機が抱える弱みを述べたいと思います。
その1つは360 Reality Audioが有料で、月額料金を支払わないといけないこと。
本機を購入しただけでは、タダで360度音源を楽しめないんです。
また配信サービスが始まったばかりで、コンテンツ(曲)も少ない。
これだと現状(2021年6月現在)では、通常のネットワークコンテンツを中心に聴かねばならず、本機のメリットを生かしきれません。
それにワイヤレススピーカーとして見れば、本機は価格が高め。
決してコストパフォーマンスが良いとは言えません。
そうやって考えると、オーディオを始めたばかりの初心者には敷居が高いし、ホームシアターを構築したいユーザーにも興味を持たれないでしょう。
新しいガジェット商品が好きなマニアか、2chオーディオシステムを持っているユーザーが、サブシステムとして購入する程度に過ぎないように思います。
明確なターゲットが、あいまいな商品であるような気がするんですね。
本機には同時発売された姉妹機として、SRS-RA3000があります。
こちらの方が性能こそ劣りますが、価格が半分ほどで済むので、通常は一般のワイヤレススピーカーとして買って使っても損はありません。
SRS-RA5000は確かに個性的で面白い商品ですが、購入するのはまだ時期尚早ではないでしょうか?
今は一刻も360 Reality Audioのコンテンツを増やし、当分の間は無料配信すべきだと思うのです。
とは言え、本機はオーディオコンポとして、優れた製品であることは確かです。
本機そのものを否定するものでは、決してありませんよ。
または
コメントを残す