『ミニディスクの現在』あなたはMDを知っていますか?

 

あなたは、普段何を使って音楽を楽しんでいますか?

恐らくスマホやタブレットか、ウォークマンに代表される、DAP(デジタルオーディオプレーヤー)であることでしょう。

 

これがもし、スピーカーを通して部屋で聴くのなら、CDプレーヤーか、近年再注目されているアナログレコードプレーヤーかも知れませんね。

昔は、カセットテープを使ったラジカセやカセットデッキも人気でしたが、多くの人は今さらこれらを使うなんてことはないでしょう。

 

ところで、少し前までミドルエイジを中心に愛用されて来た、MD(ミニディスク)と言うものがありましたが、あなたはご存知ですか?

保護用のプラスチックケースに覆われた、小形のCDみたいなヤツです。

 

 

ちまたではさっぱり見かけなくなったMDですが、現在はどうなっているのでしょうか?

今回は、これに付いて検証してみたいと思います。




 

MDはCDのように使い勝手が良くてしかも小型で便利だった

 

 

昭和から平成の世代の音楽ファンなら馴染み深いミニディスクを、CDと対(つい)で使っていましたよね。

MDの全盛期、その時代はレンタルレコードの全盛期でもありました。

 

そもそもレンタルレコードショップは、アナログレコードのレンタル事業が始まりです。

1982年登場のCDがまだ普及してなかった頃に、高価なレコードが何枚も買えなかった若者がレンタルして、カセットテープにダビングしてそれを収集。

 

それが次第にCDに取って代わると、音質で劣るアナログのカセットテープの高音質化が、求められるようになりました。

カセットテープは音質が劣るだけでなく、使い勝手も良くありません。

 

CDは曲の頭出しが一発でできるのに、構造上カセットはテープであることで、それが容易じゃなかったんです。

そこでSONYを中心に、録音再生が自由自在にできる、デジタルメディアの開発が行われました。

結局それで、1992年に発売になったものがMDとなった訳なんですね。

 

 

何と言っても、テープじゃなくてディスクなので薄いし、ディスクの直径もCDの半分なので持ち運びも楽。

しかも、全体的にキズや衝撃にも強いんです。

これで高音質ともなれば、カセットテープから乗り換えようと思うのは当然でしょう。

MDが登場したことで、CDラジMDやMDミニコンポが、オーディオメーカーから続々とラインアップ。

新しいオーディオメディアとして、一時代を築きました。

 

 

私も初めMDデッキの購入を考えましたが、家から持ち出して野外でも聴けるメリットを生かし、録再MDウォークマンの方を購入したのです。

これで必ずやカセットテープは駆逐され、消えてなくなるに違いないと確信しましたよ。

 

その後MDはどうなった

 

 

MDの全盛期は、1992年登場から20年間ほどでした。

今もあるカセットテープと比べれば、その期間は短かったですねぇ。

 

しかしCDとの組み合わせは絶妙で、高価なCDをレンタルしてMDでコピー。

それを集めてライブラリー化すれば、カセットより場所いらずで長期保存も可能でした。

 

MDウォークマンで野外で聴くのは楽しかったし、愛車にMDプレーヤーが付いていたので、数枚車内に持ち込みドライブでも楽しみましたよ。

こんな優れたメディアが、今となって衰退した(消えた)原因は何だったのでしょう。

 

 

ご存知の方も多いでしょうが、それはアップルのiPodの登場だと言われてますね。

グレードにより容量に違いがありますが、1台のボディに約1000曲ほど収容できる、HDD(ハードディスクドライブ)を搭載していました。

 

MDと違いディスクを持ち運ぶ必要がないし、CDと同等の音質で再生できるのが大きな強みです。

MDもデジタル録音であるものの、CDの半分の大きさであることでデータを圧縮しており、やや音質が劣ります。

 

曲の頭出しもiPodの方が速かったそうで、本体のサイズもより小さいとなれば、MDの優位性はありません。

このために世界中の音楽ファンは、徐々にiPodの方に流れて行ったのです。

とは言え、MDが広がっていたのはほぼ日本だけで、世界中で普及していた訳ではありませんでしたが・・・。

私の場合、MDディスクのライブラリーを多く残しており、繰り返して聴くことも多かったので、iPodに乗り換えることはしませんでした。

ですが、MDウォークマンは充電池を採用しています。

これが寿命を迎えると、新しい電池に買い替えないと、野外で聴くことができません。

 

ところがSONYは、MDデッキ・プレーヤーを一斉に製造終了するのとほぼ同時に、充電池の製造もやめてしまったのです。

で、結局私は、充電池を買いそびれてしまったことで、MDを再生することから遠ざかってしまいました。

 

久しぶりに再生しようとした時ウォークマンが故障、その後、MDを再生することはありませんでした。

機材も少し前まで、TEACがCD/MD兼用デッキとしてMD-70CD-Sを製造していましたが、2024年7月現在、もうこの機種もありません。

これで全てのメーカーのMD録音/再生機が、消えてなくなったんですね。

あとは、一部の店舗や通販で、ディスクが販売されているのみになっています。

 

MDは現在のMP3などDAPに対しメリットはない?

 

 

現代の若者は、好きな音楽の音源をどこからか持ち込んで、それをコピーして(録音して)聴くなんて感覚はないでしょう。

しかし私のように、カセットやMDにいそしんだ世代の人間には、録音したメディアをライブラリー化するのは、1つの財産を築くようなものでした。

 

購入した音源データは、それそのものに形がない訳ですから、それを財産として机に並べることができません。

カセットにしろMDにしろ形があることで、タイトルを眺め、その時代の思い出にふけることが可能です。

 

 

ですから、カセットテープやMDディスクを持っている人に取って、勿体なくてそれらを簡単に処分することができないのです。

データ音源は不要になったら消去して、必要になったらダウンロードして購入するだけの繰り返しですから、そのデータに対し思い出にふけることなどはないでしょう。

これがDAPにはできない、MDが持つ唯一のメリットだと私は思っています。

 

この気持ちは若者でも、レコードを集めることに興味を持っている人なら、きっと理解できるのではないでしょうか?

同じように形があるメディアでありながら、カセットより音質が良く使い勝手の優れていたはずのMDが、すでにないと言うのは寂しい限りです。

 

 

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