オーディオ業界の不況が叫ばれて久しくなりますが、とうとうついに、老舗メーカーのオンキヨー(ONKYO)が、2022年5月13日破産を申請しました。
事実上の倒産と言うことですね。
オンキヨーは歴史の長いオーディオメーカーで、数あるブランドの中でも、特に大手に入る人気のメーカーでした。
あなたがオーディオに詳しくない方だとしても、このメーカーの名前くらいはご存知のことでしょう。
オンキヨーの音質と言えば、全体的におとなしめのサウンドですが、朗々とした響きが印象的であり、多くのファンを魅了したものです。
私もその中の1人であり、実際に同社の製品を愛用していました。
今回はその思い出と共に、改めてオーディオコンポの魅力に触れてみたいと思います。
オンキヨープリメインアンプ Integra A-819XX これがかつて私の愛用機
オンキヨーの製品で特に評判が良かったコンポは、スピーカーシステムだったと記憶しています。
全盛期同社は、ブックシェルフスピーカーでも比較的大型モデルが人気で、特に私が印象に残っているのはD-77です。
31㎝ウーファーを中心とした3ウェイシステムで、私のオーディオ好きの友人が所有、締まった力強い重低音が魅力でした。
D-77は大きなウーファーと大容積のエンクロージャー・バスレフ構造で、その魅力ある低音は私の好みに合い、ぜひ自分も欲しいと思わせたスピーカー。
参照:ビッグオーディオ
ですが1本59.800円もしたので、当時の私の経済力ではおいそれとは買えませんでした。
そこで、ちょくちょく友人宅を尋ねては、私の好きなアルバムを掛けてもらってました。
結局、その後も私はこのスピーカーを購入することはなく、数年後、私は同社のスピーカーではなく、プリメインアンプを所有することになります。
何でスピーカーではなくアンプを買ってしまったのか、あまり記憶がないのですが、恐らく家電店の店員さんの強い押しがあったからなんでしょう。
で、そのアンプと言うのが、Integra A-819XXだったのです。
こちらの動画でその姿をご覧になれます。
協力 Glow seaさん
このアンプ、見た目に派手でボディもデカかったですねぇ。
寸法は幅471㎜x高さ173㎜x奥行296㎜あり、フルサイズコンポの標準の幅430㎜を大きく超えていました。
重量は何と22.5㎏。
とにかく大きくて重く、フロントパネルはどうだと言わんばかりのドヤ顔。
車で言えば、トヨタのアルファードって感じです。
豪華さを演出するために、両サイドにウッドパネルが付いていたんですよ。
定格出力は20Hz~20kHz(8Ω)で130W+130Wと、サイズの割にそれほどハイパワーではないですが、大らかな音でスピーカーを鳴らしてくれました。
そして、どう見てもピュアオーディオアンプなのに、AV入出力端子が装備されていて、AVアンプとして使うことができたんですね。
ですが、マルチチャンネル仕様ではないフルアナログアンプで、ワイヤレスリモコンも付いてはいません。
なので、現代のAVアンプと比べ機能的には劣る、かなり異質なAV機能付プリメインアンプだったのです。
低音再生を意識して、通常は高低2つのトーンコントロールしかないものを、当機はもう1つ超低音用コントラバス調整ツマミがありました。
参照:オークファン
それから最近のアンプでは見かけない、ミューティングスイッチが装備されています。
このボタンを押すと、一気に演奏中のボリュームが下がるのです。
どんな時に使うのかと言うと、レコード再生時に針を下ろす際に出る、ポップノイズを低減するためです。
ポップノイズはスピーカーを痛めるので、それを防ぐために、一旦ボリュームを下げる必要があります。
でも一旦下げたボリュームを元の位置に戻すのは、ちょっと面倒な作業です。
それをワンタッチで行えると言う、ありがたい機能なんですね。
当時は多くのアンプに、このミューティングスイッチが付いていたんですよ。
今でもレコードプレーヤーが利用できるよう、フォノイコライザーを内蔵したアンプはありますが、ミューティングスイッチは見当たらないですねぇ。
とにかくこのIntegra A-819XXはあらゆる面で高級感を漂わせており、私だけでなく多くのオーディオファンを喜ばせてくれたものでした。
しかし、その大きさや重さゆえ置き場所に困るようになり、数年後、私は手放してしまいました。
参照:オークファン
今思えば懐かしく、勿体なかった気がします。
価格は135.000円でしたから、結構私の財布には負担だったはずですからね。
オンキヨーサブウーファー SL-105 今でも現役の愛用機
私の部屋には、今も現役で活躍中のONKYO製品があります。
それは、小型サブウーファーシステムのSL-105。
20㎝口径のユニットが、エンクロージャーの下に向けて取り付けられています。
フロントパネルに見える丸い穴は、バスレフダクトです。
本機は2001年の発売で、私は2002年に購入しました。
価格は22.000円でした。
パワードウーファーなのでアンプを内蔵しており、出力は75W(5Ω)あります。
30Hz~200Hzの超低音域のみを再生するものですが、幅235㎜x高さ416㎜x奥行404㎜とコンパクトで、重量も12.5㎏とサブウーファーとしては軽い部類に入ります。
なので、スケール感豊かに重低音が響くとまでは行きませんが、バスレフ方式のおかげで、割としっかりした低音を再生します。
クセのない鳴り方をするので、小型のブックシェルフスピーカーとの組み合わせなら、どんなメーカーのモデルとも合うでしょう。
まぁそれでも正直なところ、音質にほれ込んで購入した訳ではありません。
本機を購入した頃は私の結婚など家庭の諸事情で、大きなコンポの置き場所に困るようになっていました。
そこでコンポ製品の刷新を図ったのですが、スピーカーも小型のものに変えたんです。
その際に、低音不足を補うためにサブウーファーが必要と考え、できるだけスリムなモデルが欲しいと選んだのがSL-105だった訳。
アンプはまだA-819XXを使っていたこともあり、オンキヨーブランドに親しみを持っていたことも購入理由にありますね。
奥行は長いものの幅の狭い本機は場所を取らず、今も十分、部屋の間取りに馴染んでくれています。
本機には便利な機能として、オートスタンバイ機能を搭載。
電源を入れたままでも、無信号状態が5分ほど続くとアンプが停止し、待機状態になるんです。
音声信号を感知すればすぐさま稼動するので、節電できて助かります。
ただ、アンプのA-819XXにはリアにアウトレット端子があり、当時は当機の電源スイッチに連動してSL-105を動かしていました。
最近のアンプには、このアウトレット端子が省略される傾向にあります。
このようなアンプと組み合わせても、いちいち本機の電源スイッチをON/OFFせずに済むのはとても便利です。
まだまだ、我が家で元気に重低音を響かせてくれるSL-105。
これからも当面、本機を使い続けようと思っています。
昔から続く老舗オーディオメーカーは今後どうなる?
さて、話はオンキヨーの倒産の件に戻りますが、嫌な噂は数年前から流れていました。
しかし同社は大手のメーカーだっただけに、何とか地味ながらもブランドが続いて行くことを、私は願っていました。
それだけに今回の件は、とても残念な思いです。
オーディオ全盛期(1970年代~1980年代)の頃と比べれば、現在は市場も小さく、会社が大きいほど運営の負担は大きいと思います。
全盛期を通し今も専業で頑張っている有名ブランドは、超高級ブランドを除けば、デノン・マランツ・JVC・ティアック・フォステクス辺りが相当するでしょうか?
ヤマハはそもそも楽器メーカーだし、ケンウッドやパイオニアは今やドラレコとカーナビのメーカーです。
そうそう、あのソニーだってソニーグループと言う社名に変更して、総合エンターテイメントの会社になっていますからね。
上記の5つのブランドは、今後も厳しい内部再編が求められるかも知れません。
でも会社そのものが小さくなっても、何とかオーディオコンポとしてのブランドを維持してもらいたいものです。
市場は小さくなっても、人々が音楽を聴く習慣は世界からなくなることはないでしょう。
少しでも良い音で音楽を聴きたい気持ちを盛り上げて、オーディオにも興味を持っていただきたたく、私も手を振りたいと思います。
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