『Soundfort AS-100+ DS-200』レビュー評価:予想外に高音質な小型デジタルアンプとUSB DACの組み合わせ

 

かつてのPCオーディオがデスクトップオーディオと名が変わり、1つのオーディオカテゴリーとして人気になっていますね。

現在は日本国内/海外製品を問わず、色々なモデルが販売されていますが、中核になるプリメインアンプなどは、どれも小型タイプが主流です。

 

そこで実際のデスクトップオーディオは、どれほど音質が良いのか興味を持ったところ、このたびメーカーさん側の協力で機材をお借りすることができました。

お借りしたのは、神奈川県に本社を置くSoundfortのデジタルアンプとUSB-DAC、「AS-100+ & DS-200」です。

この2台を私の部屋に設置して、音質や使い心地をレビュー評価してみたいと思います。




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Soundfort AS-100+:小型ブックシェルフスピーカーでも重低音が出た!

 

 

超小型デジタルアンプの実力はいかに?と言うことで、まずはAS-100+を使い、CDの音をアナログ入力して再生してみました。

使用した機材は、CDプレーヤーがSONY CDP-337ESD、スピーカーはCELESTION F10です。

 

取り付けは誠にカンタン。

AS-100+は、入力がLINE IN(RCA)が1系統・出力はスピーカー1系統、これだけ。

何せ大きさが、幅9.4㎝x高さ4.8㎝x奥行12.1㎝・重さが416gと、超小型・超軽量で、余分な機能は一切付いていません。

CDP-337ESDのLINE OUTからRCAケーブルでAS-100+のLINE INへ接続し、スピーカー出力からF10へつなぐだけです。

 

 

なお、本機(AS-100+)のスピーカー端子はバナナプラグに対応しており、接続は容易にできます。

フロントパネルにあるのは電源ボタンとボリューム、そして入力信号の高低を切り替えできるゲインスイッチのみです。

オーディオ初心者でも迷うことなく、取り付けや操作ができるでしょう。

 

 

本機を触った感じですが、スイッチ類はしっかりしてボリュームの動きも適度なトルクがあり、高級コンポそのもの。

チャチな感じは全くありません。

 

では早速、音質をチェックしてみましょう。

視聴したCDは、ジャズドラマー、ピーター・アースキンが中心のトリオで演奏した「オーロラ」です。

 

 

このアルバムは、DENON(デンオンと発音した当時)のPCMデジタルで録音されたもの。

1曲目から強烈なバスドラとベースが響き、オーディオチェックに相応しいものです。

 

CDをスタートしてみると、わずか10㎝のF10のウーファーから、見事に重低音が再現されました。

一方、高音もシンバルがきらびやかで、なかなか良い感じです。

 

全体的にダイナミックながらもドンシャリではない、丁寧に奏でる音と言った表現が正しいかも知れません。

デジタルアンプは、良く解像度は高いが冷たくて硬いと評されますが、本機はそんな感じではなくアナログアンプに近い音質です。

 

ただしパワー感は凄いとまでは言えず、ガンガン鳴らそうとすれば、ボリュームをかなり上げないといけません。

と言うのは、実は最初にCDを掛けた際、再生音に音量不足を感じたのです。

 

 

電源ボタン横のゲインスイッチをHiにしても不足で、CDP-337ESD側の出力を3時の位置まで上げ、やっと聴ける程になりました。

本機の出力は、スピーカーインピーダンス6Ωで18W+18W。

F10のインピーダンスは8Ωで音圧レベルが88dB。

 

なので少し出力が低下していることもあり、そのせいでやや音量不足となったのかも知れません。

ガンガン鳴らすには、ボリュームを12時の位置まで上げる必要がありました。

 

しかしその反面、10時から9時程度に絞っても、高音・低音のバランスが崩れたりはしませんでした。

タップリとは言えませんが、小音量再生時でも重低音がちゃんと出たのにも感心しきり。

AS-100+には、トーンコントロールのような機能は一切ありませんが、それは必要なしと断言できそうです。

 

とは言え、音質的に1点気になったところがあります。

周波数が200Hzあたりでしょうか、一瞬ボワッと音が歪んで聞こえる帯域があります。

(200Hzと言うのは私の感覚であり、正確でないかも知れません)

 

 

これは普段F10に接続しているプリメインアンプ、DENON PMA-390Ⅳでは感じなかった音なので、本機の特性なのではないでしょうか。

これ以外は、むしろPMA-390Ⅳよりも良い音質だと感じました。

全体的に本機の音質は、7万円から8万円程のアナログプリメインに匹敵するのでは?と言う印象です。

 

 

Soundfort AS-100+ & DS-200:この両機を組み合わせると音に厚みが出る

 

 

次に今度は、AS-100+にUSB-DACであるDS-200を加えて、CDP-337ESDからデジタル出力した音を聴いてみました。

DS-200はUSB・コアキシャル(同軸)・オプチカル(光)の、3種類から選んでデジタル入力することが可能です。

 

 

さらに本機(DS-200)は、音声信号をデジタルからアナログに変換するだけでなく、ヘッドホンアンプとしての役割も兼ねています。

大きさは幅9.4㎝x高さ4.8㎝x奥行12.3㎝と、AS-100+とほぼ同じ。

 

重さは約500gと、AS-100+よりも80gほど重くなっています。

作りの良さもAS-100+と変わりなく、やはり高級感があります。

両機を並べて置いても、デスク上で全く邪魔になりません。

 

 

今回CDP-337ESDとの接続は、オプチカル(光)で行うことにしました。

光ケーブルで両機をつないだら、今度は本機とAS-100+とはLINE(RCA)でつなぎます。

 

さて接続も終わり電源を入れたら、入力をオプチカル(光)へ切り替えます。

フロントパネルにあるModeとSamplingの表示は自動的に切り替わり、自分で操作できません。

 

 

それでは、CDの音を出してみましょう。

再生した瞬間「オッ」と思ったのは、ゲインが上がり音量が大きくなったこと。

 

AS-100+単体では、ボリュームを12時の位置まで回わしたものが、本機を介すると、10時くらいの位置で足りるようになりました。

音質的にも全域に渡り厚みが増し、押し出し感が強くなりました。

 

特に重低音の量感が増したことで、低重心の音になったことが印象的です。

スピーカーのF10は10㎝口径のウーファーですが、バランス的にサブウーファーは必要ないなと感じました。

高音も少し伸びるようになったことで、AS-100+単体よりややデジタル寄りな音になりましたが、総合的に本機を使った方が高音質になりますね。

 

ちなみに、本機を使った際のデメリットを探してみましたが、1点だけ気になる箇所がありました。

それは、ヘッドホンを使用した時の音質です。

 

こちらはスピーカーで鳴らした時と比べ、幾分と言うかかなり音が硬め。

これは音域関係なく全域に言えることで、かなりデジタルっぽい音です。

 

ヘッドホンだけでなく、デジタルプレーヤーで使うイヤホンでも聴いてみましたが、傾向は同じ。

よりダイナミックで良い面もありますが、ジャズトリオなど小編成の音源には、ちょっと向かないなと思いました。

シンセサイザーを多用した、アニメソングには合うかも知れませんね。

 

でもスピーカー中心で鳴らすのなら、やっぱり本機を利用した方がジャンルを問わず良さそうです。

と言うことで改めて、AS-100+F10の組み合わせでCDを聴いてみました。

 

今度は、ビル・エヴァンスのアルバム「ビル・エヴァンストリオ」です。

1963年ロスアンゼルスで録音されたライブ盤なのですが、アナログ音源ながら非常に良い音でレコーディングされています。

 

 

本機とAS-100+F10の組み合わせでは、ピアノ・ドラムス・ベースがくっきり、セパレーション良く鳴り響きます。

特にAS-100+単体の時と比べ、歯切れの良くズンズン鳴るベースが強調されるんですね。

しかも大音量で鳴らすのではなく、ボリューム位置が9時くらいの比較的小音量の方が、かえって心地良く感じられました。

 

 

もし両機を使って、フロア型の大型スピーカーで鳴らしたらどうなるでしょうか?

それなりに堂々とした音を奏でるのではと想像できますが、そもそもAS-100+のパワーは6Ωでわずか18W+18Wです。

 

スケール感豊かに鳴らし切るには、限界があるかも知れませんね。

そう考えれば、今回のF10のように小型ブックシェルフの方が、緻密な音で満足感は高いことでしょう。

 

Soundfort AS-100+ & DS-200の評価

 

 

PCオーディオと言うカテゴリーが誕生してすでに久しいですが、現在では一般のオーディオコンポと比べても、違和感のない製品として成長しました。

超小型デジタルアンプのAS-100+やUSB-DACのDS-200もその仲間で、そのサイズ感からデスクトップオーディオと呼ばれています。

 

使い勝手のほどは既述の通りで、デジタル技術を多用した機器でありながら、特別PCの知識がなくても容易く扱えます。

と言うか、すでに普通のオーディオコンポの1つと言っても良いでしょう。

 

他機ではD級アンプとして、デジタル的な音質を強調したモデルもあります。

AS-100+では、それをアナログアンプと比べても違和感のない音質を、小さなボディとリーズナブルな価格で実現しました。

それにDS-200を加えることで、さらなる解像度とダイナミックさをアップできます。

 

このように高音質を目指して登場した両機ですが、オールマイティにどのユーザーにもおすすめできるとは言えないと思います。

両機は高音質再生を目指してはいますが、決してハイパワーを出すことを狙っているものではありません。

 

なので既述のように組み合わせるスピーカーは、大型のものよりもデスクトップに相応しい小型ブックシェルフの方が、バランス良く聴けることでしょう。

取り扱いは容易でも、基本的に音源の入出力はそれぞれ1系統のみ。

CDプレーヤーと一緒に、FMチューナーやレコードプレーヤーをつなごうと思ってもできません。

 

 

また最近搭載の多いBluetoothもありませんから、ワイヤレスで音源を再生することもできません。

ワイヤレスリモコンだってありません。

つまりオーディオコンポとして、メインシステムで使うには少し不便です。

 

オーディオ初心者でも簡単に扱うことはできますが、あえてこの両機を使うメリットを見出すことは難しいでしょう。

AS-100+とDS-200を使うメリットを見いだせるのは、すでにメインシステムを所有していて、ある程度コンポを使いこなしているユーザーです。

 

メインシステムとは、違う傾向の音も楽しんでみたいと思うなら、両機の面白さを肌で感じ取れることでしょう。

そんな方におすすめしたい、デジタルアンプとUSB-DACだと私は思います。

 

※これらの商品は現在販売されておりません

 

 

Soundfort website

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