このところアナログレコードブームが続き、中古が売れているばかりでなく、新譜まで続々登場する盛況ぶりですね。
かつてオーディオが全盛だった時代には、DD(ダイレクトドライブ)プレーヤーが開発されて、これが非常に人気だったものでした。
現在は、保守・修理が容易なBD(ベルトドライブ)プレーヤーが主流です。
しかし、ターンテーブルの回転の安定性とメンテナンスフリーなことを考えれば、やはりDDの方に軍配が上がりますね。
DDは価格が高い点がネックですが、ごく最近では低価格のモデルも登場、注目を浴びています。
その代表的なモデルに「TEAC TN-4D」があります。
今回はこのTEAC TN-4Dに的を絞り、ユーザーレビューを交えながら魅力を検証。
そして評価をしてみたいと思います。
TEAC TN-4Dは低価格でもカートリッジが付属しUSBでデジタル出力もできる
TN-4Dは操作系はいたってシンプルなので、扱いやすいフルマニュアルレコードプレーヤーです。
リアパネルにある電源スイッチをONにしたら、レコードを載せ回転数を選びます。
するとターンテーブル(プラッターとも呼ぶ)が回転するので、後はアームをレコードの縁まで持って行ったら、アームリフターで針を降ろします。
針がレコードに触れる瞬間は、”ボッ” とポップノイズが発生するので、最初はアンプのボリュームを下げておきましょう。
これで再生が始まります。
本機は前述のようにフルマニュアル機なので、演奏が終わったら再びリフターでアームを上げ、アームスタンドへ戻さないといけません。
この時も、アンプのボリュームは絞っておいた方が良いですね。
自動でアームが戻るオートリターン機能もない訳ですが、全て自分で操作する行為が、またレコードを聴く楽しみとなるんです。
メカニズム的に非常にシンプルとは言え、フォノイコライザーは内蔵しているので、これが搭載されていないアンプでも使うことができます。
さらにUSB端子を備えているので、PCとつなぐことで、レコードの音源をデジタル出力できるのも特徴です。
ターンテーブルに使用されているモーターは、ブラシレスDCモーターを採用。
昔のDDプレーヤーのように、回転数の正確さを伝えるストロボスコープは非搭載ですが、クオーツロック制御で正確な回転数を保ちます。
薄型モーターですから、本体は高さを抑えたデザインになっていて、なかなかカッコ良いですね。
それから本機は、初めからカートリッジが付いています。
SUMIKO製のMM型、Oysterを搭載。
このカートリッジは初心者向きと言われますが、中低音に重心を置いた迫力あるサウンドを奏でるので、なかなかあなどれないモデルですよ。
トーンアームは専門メーカーのSEAC社製のもので、本機専用に設計されたもの。
S字型トーンアームを搭載して、シェルを介してカートリッジを簡単に他のものに交換でき、Oysterとは違う音を楽しむことが可能です。
レコードプレーヤーは、箱から出したら最初にセットアップが必要で、針圧調整などしなければなりませんが、マニュアル通りにやれば初心者でも確実に行えます。
ではここで、あるユーザーが撮影した本機のイメージ動画がありますので、マドンナのボーカルを聴きながらご覧いただきましょう。
協力 Sam Wongさん
いかがですか。
見ているだけでも、ワクワクして来ませんか?
さて今度は、実際にTN-4Dを愛用しているユーザーの皆さんは、本機にどんな感想を持っているのでしょうか?
いくつかレビューを集めましたので、次項を覗いてみて下さい。
TEAC TN-4Dのユーザーレビュー
★「さっぱりとしたデザインで、品が良く見える。聴き始めたばかりなのだが、音質はボーカル物がきれいに聞き分けができ、これから聴き込んでいきたいなと思っている。操作性としては、初期設定もマニュアル通りにおこない問題なかったし、難しくもなかった。機能性は、フォノイコライザーを使った場合と通さない場合と両方聴いたが、内蔵イコライザーの性能は良さそうだ。USB接続でのPCへの転送はまだ行っていないが、今後レコードの記録の拡張性があり楽しみだ。本体・トーンアーム・ターンテーブルとも軽い感じだが、つくりはしっかりしている。」
★「使い始めてまだ数週間だが、気になることは特別にはない。強いて言えば回転数を確認するストロボがないので、はたして正確な回転なのだろうかと思うことがある。」
★「往年のレコードプレーヤーと比較すれば、みかけは非常にちゃちに見える。まず驚くのがターンテーブルの重量だ。非常に軽い。昔は慣性モーメントを稼ぐため重量級のターンテーブルだったが、今はモーターがクオーツロックの為必要ないのだろう。スタートもストップもすぐに反応する。付属のカートリッジは完全初心者用(9800円位)で、再生用周波数が狭い。音質は多少暗い。問題が1点。アームの高さが調整できないので、カートリッジとセル側で調整可能なカートリッジしか利用できない。」
★「いちいち手でやる所が面倒臭いんだけど、それがまた楽しみでもある。現代の人間は、自動的に機械がやってくれる事に慣れ過ぎている。自分で手動でやる事の方が失敗はあるだろうが、面白いから好きだ。」
TEAC TN-4Dの評価
TN-4Dは低価格ながらDD方式を採用し、操作の楽しみを残したレコードプレーヤーとして、オーディオ中級者から初心者までおすすめできます。
しかも、力強い音を奏でるカートリッジを搭載しているし、時代に合わせUSBデジタル出力もできて、非常にコストパフォーマンスが高いですね。
昔のオーディオマニアからすれば、ストロボスコープがなく回転の微調整ができないし、ワウ・フラッターが0.1%であることに不満を感じるかも知れません。
確かにオーディオ全盛期のDDプレーヤーは、どれもストロボスコープは付いていたし、ワウ・フラッターも0.03%くらいでしたからね。
しかし、0.1%でもクオーツロック制御で安定しているのなら、人間の耳では音の揺れなど判別できないので、問題になることはないでしょう。
もしターンテーブルの回転数が正確かどうしても気になるのなら、写真にあるようなシート状のスコープを使って確かめてみると良いかも知れません。
ただし本機はトーンアームの高さ調整ができず、カートリッジの大きさによっては使えないものもある点で、いくつものカートリッジを所有する上級者には不向きなモデルと言えそうですね。
それでも、薄型ブラシレスモーターを内蔵して本体の高さが抑えられ、デザインが良いことと、カラーがピアノブラックとウォルナットから選べるのは、オシャレで楽しいです。
DDにこだわる初心者や、かつてのレコードの資産が多い音楽ファンなら、満足度の高いレコードプレーヤーだと評価できるのではないでしょうか。
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