『スピーカーインピーダンスとアンプの関係』高いのと低いのではどちらが良い?

 

オーディオコンポを購入しようとする際は、
ミニコンポなどシステム化されたものじゃなく、

アンプ・スピーカーを別々に選ぶとしたら、
注意したいことがあります。

 

それはスピーカーの
「インピーダンスとアンプ」
の関係です。

 

カタログの仕様表を見ると、
型式や使用するユニット・最大入力の他に、
インピーダンスの項目があると思います。

また、出力音圧レベルと言う
項目も見かけることでしょう。

 

これらは何を意味するのか、また
高い方が良いのかそれとも低い方が良いのか、
あなたは気になったことはありませんか?

一見地味に見えるこれら2つの項目は、
スピーカーだけでなく
実はアンプを選ぶ上でも重要なことなんです。

 

今回は初心者のあなたに、分かりやすく
これらを解説して行きたいと思います。




 

CONTENTS

スピーカーインピーダンスとアンプの出力の面白い話

 

 

まずは、
スピーカーインピーダンスとは、
何のことでしょうか?

 

これはアンプから流れて来た電気信号が、
スピーカーの回路を通過する時の、
電気抵抗のことを指すものです。

 

インピーダンスは「Ω(オーム)」と言う単位で示し、
現代のオーディオスピーカーは8Ωを基準に、
インピーダンスが高いとか低いとか言います。

その理由(わけ)は1980年代~90年代の、
オーディオ全盛期に発売されたスピーカーに、
8Ωのものが多かったことに由来します。

 

この8Ωを基準に、アンプの出力が
表記されていたのです。

例えば、
「60W+60W(20Hz~20kHz 8Ω)」
と言うように。

 

ところが2000年以降ブームが去り、
ユーザーはオーディオに予算を掛けなくなり、
価格の安いモデルに人気が移って行きました。

大型モデルは軒並み姿を消し、
スペースを取らない
ミニコンポが売れ筋になったのです。

 

そこでメーカーも、
小型モデルのラインナップを増やし、

今もスピーカーの人気の中心は、
小型ブックシェルフとなっています。

 

ここで少しアンプの話になりますが、
アンプもコストダウン化すると、

当然販売価格が下がりますが、
同時に最大出力も小さくなります。

 

でもアンプの出力が小さいと、
ユーザー目線では
頼りない製品に感じますよね?

そこでこれを補うために、
低インピーダンスのスピーカーが、
多くなって来たのです。

 

それまでの8Ωに代わって、
6Ωや4Ωのモデルが増え、
これらが主力になっています。

 

これはどういうことなのかと言えば、
インピーダンスを低くすることで、

アンプの信号抵抗を減らせるので、
出力をアップさせられるのです。

 

ここで、
アンプのカタログの定格出力の項目を、
見ていただきたいと思います。

 

例えば先ほどの、
「60W+60W(20Hz~20kHZ 8Ω)」
の表記の隣を見ると分かります。

「70W+70W(20Hz~20kHZ 6Ω)」とか、
「120W+120W(20Hz~20kHZ 4Ω)」などと
併記されているのではないでしょうか?

 

製品によってカタログの出力覧に、
4Ωしか表記しないものがあり、

これだけで、
「俺のアンプは120W+120Wもあるんだぜ」と、
ユーザーを喜ばせることが可能になります。

 

以前のように8Ω表記なら、
60W+60Wなんですけどね・・・。 (^^;

 

ここで補足しますが、
インピーダンスを8Ωから4Ωへ落とすことで、
アンプの出力は倍得られることになるんです。

インピーダンスの意味を知らないユーザーは、
見かけで高出力アンプと思わされる訳です。

 

最近発売されたスピーカーシステムが、
以前に多かった8Ωインピーダンスから、
6Ωや4Ωへと変化した理由が分かりましたか?

 

スピーカー音圧レベルとアンプの出力の面白い話

 

 

今度はスピーカーのカタログ仕様表で、
出力音圧レベルに注目して下さい。

「87dB(デシベル)」などと
表記されているところです。

 

オーディオ全盛期の音圧レベルは、
90dBくらいが標準でした。

で、これ以上高いものは音圧レベルが高い、
低いものは音圧レベルが低い、と呼びます。

 

近年のスピーカーシステムは、
狭い住宅事情のほかコストダウンの影響で、

ウーハーが8㎝から13㎝程度の
小型ブックシェルフが人気です。

 

また、これらモデルの音圧レベルを見ると、
基準の90dBを下回るものが多いです。

音圧レベルもインピーダンスと同様で、
アンプの出力に大きく影響します。

 

音圧レベルが高いほど、
スピーカーから出る音量が大きくなり、

その分アンプの負担は少なくなって、
出力も小さくて済みます。

 

逆に音圧レベルが低いと、
スピーカーからの音量が小さくなり、

大きくしようとすれば、アンプの
負担が増えて大きな出力が必要に。

 

仮に87dBのスピーカーを10Wのアンプに繋ぎ、
音量不足を感じるのなら、

90dBのスピーカーと組めば、このアンプは
倍の20Wを出力することになるんです。

 

わずか3dB音圧を高くするだけで、
アンプの出力が倍になるのは凄いですよね。

 

話は戻りますが、
最近の小型ブックシェルフスピーカーは、
音圧レベルが90dBを下回るものが多いです。

これではアンプの負担が増えてしまうのに、
なぜ音圧レベルを低くするのでしょうか?

 

理由は、そのスピーカーシステムの
大きさに由来するんです。

 

スピーカーシステムを小型化するには、
まずユニットを小さくする必要があります。

でもそうしてしまう結果、
低音域の再生能力が低下します。

 

つまり低音が出にくくなると言うこと。

それを補うために、
バスレフ構造を取ったりしますが、
これには限界があります。

 

他にできることと言えば、
音圧レベルを落として、
低音の再生能率を上げること。

 

音圧レベルをわずか3dBほど落とすことで、
低音の再生能力を、幾分
向上させることが可能になるんです。

でも、その弊害で全体の音圧が下がり、
音量も小さくなります。

 

だからこそ前項でお話した、
インピーダンスを6Ωや4Ωにして
アンプのパワーを上げるんですね。

 

オーディオメーカーとしては、
大型スピーカーを開発するよりも、むしろ

小型スピーカーを開発する方が難しいことを、
あなたはお分かりになったでしょうか。

 

とは言え、メーカー開発者がいくら工夫しても、
スピーカーの聞こえ方は人によって違います。

スピーカー単体での低音再生に不満を感じたら、
サブウーファーを追加して補いましょう。




 

まとめ:スピーカーを選ぶ際はインピーダンスや音圧レベルに注目して!

 

いかがでしたか。

 

オーディオコンポをお金を掛けないで
バラバラのメーカーで揃えたい場合は、

スピーカーのインピーダンスや
音圧レベルにも注目しましょう。

 

適当にモデルを選んでしまうと、
場合によって音量不足に悩まされ、
アンプの出力不足を感じてしまいます。

 

そのためにスピーカーは、
8Ω以下のインピーダンスのもので、

音圧は87dB以上のものを選ぶことが、
パワー不足(音量不足)にならない秘訣です。

 

これをクリアできれば、
数Wの出力の真空管アンプを使っても、
音量に不満なく音楽を楽しめますよ。

 

なお、
スピーカーインピーダンスや音圧レベルが、

音質そのものに影響することはないので、
その点は安心して下さいね。

 

 

 

6件のコメント

  • 稲垣隆

    インピーダンスが4Ωスピーカーを、出力インピーダンスが8Ωのアンプで鳴らしても問題ないですか?
    アンプの電流が増えて負荷が高くなると聞きましたが。

    よろしくお願いいたします。

    • オーディオ情報屋

      稲垣隆様、お問い合わせをいただきありがとうございます。

      さてお問い合わせの件
      >インピーダンスが4Ωスピーカーを、出力インピーダンスが8Ωのアンプで鳴らしても問題ないですか?
      ですが、1つ誤解をされているようなのでお伝えしようと思います。

      インピーダンスが4Ωのスピーカーは存在しますが、「出力インピーダンスが8Ω」と言うアンプはありません。
      私が書いた下記の記事
      『スピーカーインピーダンスとアンプの関係』高いのと低いのではどちらが良い?
      ⇒ https://xn--dcknb0b6f4f7ftc.pw/archives/3794
      では「60W+60W(20Hz~20kHZ 8Ω)」と記述した部分がありますが、これは出力インピーダンス8Ωのアンプと言う意味ではなく、
      8Ωのスピーカーで鳴らした場合 “このアンプは60W+60Wを出力しますよ” と言う意味なんです。

      なので、このアンプを4Ωのスピーカーで鳴らすとしたら、抵抗が8Ωの半分になることで出力が倍のアンプとなります。
      つまり「120W+120W(20Hz~20KHz) 4Ω」になる訳ですね。

      >アンプの電流が増えて負荷が高くなると聞きましたが
      の意味は、
      お使いになる4Ωのスピーカーの最大許容入力が例えば60Wだったとしたら、”120Wのアンプは過大入力になる危険がありますよ”
      と言うことを意味するのです。

      ですから、そのようなアンプとスピーカーの組み合わせになってしまう場合は、
      あまりボリュームを上げ過ぎないように注意すれば良いのです。

      ただそもそも、通常皆さんがお聴きになる音の大きさはだいたい、アンプの出力は1W+1Wくらいと小さいです。
      なので、故意にスピーカーを壊すほどのボリュームに上げ過ぎない限り壊れることはありません。
      安心して4Ωのスピーカーをお使いになって下さいね。

  • 本間芳弘

    宜しくお願いします。

    現在、アンプ『ONKYOA 924』を使用してYAMAHA NS1000とVictorFB5を同時にレコードを鳴らしてますが、YAMAHAは低音が出ず、まったりとした音です。
    その後ダイアトーンのDS 77とテクニクスのリニアフェイズSB5300をアンプ『SANSUI AUーD707』で(6Ω)をダブルで鳴らしてます。
    が、同時に鳴らす時は8Ω以上をお使い下さいとありました‼️
    こちらはそこそこ良い塩梅ですが、このまま使うとヤバいでしょうか?

    なんせ古いスピーカーのせいか、なかなか思った様な音(カラッと抜けて、締まった低音)が聞けません。

    • オーディオ情報屋

      本間芳弘様、コメントありがとうございます。
      「オーディオコンポレビュー評価」管理人の「オーディオ情報屋」こと林と申します。
      当時人気だった年代物のコンポをいくつもお持ちのようで、凄いですね。
      さてご質問の件ですが、『AUーD707』のマニュアルで「2組のスピーカーシステムを鳴らす時は8Ω以上をお使い下さい」と言うのは、「8Ω以外なら6Ωや4Ωのスピーカーを使って下さい」と解釈して下さい。
      お使いの『DS77』や『SB5300』はどちらもインピーダンスは6Ωですから、使用しても何ら問題はないと思います。
      8Ω以上のスピーカーを使わず仮に16Ωのスピーカーを使うと、出力不足で音量が小さくなってしまうためです。
      『AUーD707』は90W+90W(8Ω時)のパワーがありますが、これに16Ωのスピーカーをつないでしまうと、出力が45W+45Wに低下してしまいます。
      まして同じインピーダンスのスピーカーを2組も同時に鳴らしては、音量不足は避けられません。
      そんな意味でマニュアルに書かれていることであり、機器が壊れてしまうことではないので安心して下さい。
      ただし、『DS77』も『SB5300』も、本来メインスピーカーとして使用するシステムです。
      切り替えて音の違いを楽しむ使い方は良いですが、同じ部屋で2組同時に鳴らすのは音質がアンバランスになってしまう可能性があるので、あまりお勧めできることではないでしょう。
      それぞれを別の部屋で使うのならば問題はありませんよ。
      また分からないことがあれば、改めてコメント下さいね。

  • 佐藤 由佳

    父が実家に遺したオーディオに新たにスピーカーを接続して再利用したいと考えています。
    アンプはサンスイAU=D607F(75w+75w、8Ω)、プレーヤーがデンオンDP=59Mと、ビクターTT-81になり、元あったスピーカーはとてつもなく大きく古かったので処分しました。予算と、マンションの広くもない一般的な空間で邪魔にならないスピーカーをと考え、ネットでのレビューなど参考にWharfedale/Diamond10,1(6Ω、86dB)を見ているのですが、このセッティングで問題ないでしょうか。他の方の質問への回答である程度理解できたのですが、音質等お気づきのことなど含めてアドバイスいただければ幸いです。

    • オーディオ情報屋

      佐藤 由佳 様 メッセージ有難うございます。
      さてご質問の件ですが、「このセッティングで問題ないでしょうか」の意味は、「問題なく鳴らすことができるのか」と言うことで宜しいでしょうか?
      これであれば、アンプとプレーヤーが完動するものである限り、問題はないと思います。
      これが音質的にどうなのか?と言うことなら、実際に動かしてみないと何とも申し上げられません。
      発売されていた年代が全然違うこともあり、アンプとスピーカーの相性の合う合わないがあるからです。
      アンプはアナログ時代のものであり、スピーカーはデジタル時代のものです。
      アンプは当時非常に人気があったモデルで、中低音にパワーのある音質が特徴。
      なので、スピーカーは外見から想像するより、ずっしりとした鳴り方になることが想像されます。
      あなたがこのような音質が好きなら、きっと良い結果が出ることでしょう。
      実際にやってみて、またその結果を教えて下さい。
      なお、スピーカーにはある程度エイジングが必要なので、最初のうちは比較的大きな音で鳴らしてみることをおすすめします。

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