『TEAC W-1200』音質評価:カセットデッキで新品販売されてるのは本機のみ!?

オーディオ初心者の方には、
あまりなじみがないかも知れません。

 

かつて “エアーチェック” と言って、
FMラジオで流れる音楽を

カセットデッキで録音するのが
流行っていた時代がありました。

 

現在は録音と言えばダウンロードが主流で、
カセットテープを使うカセットデッキなんて、
過去の遺産に感じてしまうかも知れませんね。

でもアナログ時代からのオーディオファンなら、
カセットテープの財産が
きっとたくさん残っていることでしょう。

 

録再デッキが故障して動かなくなって以降、
捨てられないまま棚の奥にでも
眠らせているのではないでしょうか?

多くの人が新品のカセットデッキは、もう
販売されていないと思っているに違いありません。

 

ところが、まだまだ堅実に、
ちゃんと製造されているんですよ。

それが「TEAC W-1200」

 

今回は、オーディコンポとして
立派に通用するカセットデッキ、

TEAC W-1200にスポットを当て、
ユーザーレビューで音質を評価しましょう。




 

TEAC W-1200は、ドルビーBで録音されたテープを再生できる!

 

コンポとして人気だったカセットデッキは、
ラジカセとは違いひたすら高音質を目指し、

ヒスノイズを低減するドルビーシステムを
搭載していました。

 

ドルビーシステムを使って録音されたテープは、
同じドルビーシステムで再生しないと、
高域バランスが崩れた音になってしまいます。

 

オーディオメーカー各社が、次々と
カセットデッキの製造を止めてしまったことで、

せっかく録り留めたテープを、正しい
音で再生することが不可能になりました。

 

唯一カセットデッキを今でも製造するTEACでは、
すでに供給がなくなって手に入らない、
ドルビーのICチップの代替品を独自に開発。

 

ドルビーBで録音されたテープの再生に成功、
このW-1200に搭載しています。

ドルビーCには未対応ですが、
ある程度、カセットテープの遺産を
よみがえらせた訳ですね。

 

また、本機はリアパネルにUSB端子を備え、
PCを介してカセット音源を
デジタル化する機能も付いています。

 

「Audacity」「Garage Band」など、
一般の録音用ソフトウェアが必要になりますが、

デジタル化すれば、ipodやスマホなどで
楽しむことができるんです。

 

それから本機は、
ダブルカセット仕様になっています。

 

ダブルラジカセとしてのダブルカセットは、
以前に多数機種がありました。

しかし、カセットデッキでは
あまり例がなかったと記憶しています。

 

単純に録音されたテープを楽しんだり、
音源のデジタル化が目的なら、
ダブルカセットは必須ではないでしょう。

でも、シングルよりダブルの方が、
便利であるのは確かです。

 

一方のテープを再生しながら、
もう一方のテープを録音状態にして
ダビングができますからね。

外部から音源を入力しながら、
両方のテープを録音状態にすれば、同時に
2本同じテープを作ることが可能です。

 

片方でテープに録音しながら、
一方のテープを巻き戻したり早送りしたりして、
スタンバイ状態を作ることもできるでしょう。

 

それから本機には、左側のテープ1に、
±12%のピッチコントロールが付いています。

ダブルカセットの場合、テープ1と2とで、
速度が微妙に違うことがあります。

それを整えるために、
この機能は役立つんですね。

 

人の声を録音したテープを再生する場合、
聞きづらい箇所があれば速度を落として、

何を言っているのか
確かめることもできるでしょう。

 

全体的には緻密な作りや高度な機能がなく、
カセットデッキ全盛時代の機種と比べると、
明らかに見劣りがします。

 

操作こそフルロジック式で、
電気的な小気味良い動き方だし、

ワイヤレスリモコンが付いているのも
以前のモデルにはなかった装備です。

 

ちなみにマイクミキシング機能もあって、
テープ1で曲を再生しながらマイクで歌を歌い、

テープ2に録音してカラオケテープを
作ることだって朝メシ前です。

TEAC W-1200のユーザーレビュー

 

それでは、実際にW-1200を使っている
ユーザーの皆さんは、
どんな感想を持っているのでしょうか?

 

ユーザーレビューを集めましたので、
その中でいくつか確かめてみましょう。

その後で、私なりの本機の評価を
してみたいと思います。

 

★「見た目プラスチッキーで、メカ動作音やカセットホルダーを閉める際の音も相当大きく、テープホルダーにはバックライトなしで、テープ残量が確認しづらい。カウンターも時間表示でないなど残念な点もあるが、デジタル化のために再生専用機としての使用がメインなので問題はない。また肝心の録再ヘッドは3ヘッド構成ではないが、録音することでヘッドの消磁ができるので良しとしよう。本機を使用しパススルーして、カセット以外の他のソースもデジタル録音できるようになっていれば良いなと思うほど、安定してパソコンへ取り込みできる。」

★「オートリバースからワンウェイメカに変わり、ヘッドアジマスが安定した為か、高域がかなり伸びる。低域もキチンと歪まずに出るようになっている。また以前使っていた同じTEACのモデルは、個体によってはハムノイズが入る・テープが絡まるという不具合があった。本機は、お店で視聴した個体・購入した個体共に、ハムノイズが入らなかったので、改善された可能性が高いと期待している。テープの絡まりだが、現在のところ一切ない。」

★「本機を使って、かつての “まともな” カセットデッキで録音したカセットを、デジタル化しようと思っている方は、一度考え直していただきたい。本機のデッキとしてのメカニカル、また電気回路的にも基本的性能が低すぎて、折角カセットに記録されている音質が、台無しになるのは間違いない。メカニカルな面からみると、本機はテープデッキの要ともいえる回転系の性能が低く、ワウフラッター(回転ムラ)は0.25%と、かつての高級機の約10倍もある。このレベルの機器では、音楽(特に楽器の微妙な音色など)をまともに再生するのは不可能なことくらい、オーディオメーカーなら自明のはずだ。」

★「実際に購入し使用してみての感想。1980年代前半にソニーのTC-K777などで録音した、ハイポジやメタルテープを再生させるために購入。再生したのは35年前のテープのせいか、音質はテープの保存状態によりかなりの差が現れる。良い機材で録音し、マスター巻きで保存してあったテープは、ラジカセなんかより遥かに良い音を奏でてくれた。音がこもることもなく、アナログらしい奥行きのある暖かい音質が蘇る。一方で、保存状態の悪いテープは最悪だ。音はこもるし、揺れを感じる有様だった。ラジカセではあまり感じなかった保存状態の差がはっきりと判り、”こんなに違うんだ” と言った印象だ。」

 

TEAC W-1200の評価

 

W-1200を実際に見ると、
“かつてのオーディオブーム時代の再来か?”

と思えるほどのなつかしさ
とワクワク感を感じさせますね。

 

ただ手で触れてみると、
スイッチの操作感は良好であるものの、

カセットホルダーの開閉の感触は安っぽく、
高級機とは明らかな違いが見えます。

 

メカニズムも、下請けメーカーが
主な部品の供給を止めていることもあり、
シンプルな構造になっています。

昔のオーディオマニアなら、
カセットデッキもメカにこだわったもの。

 

それに応じてメーカーも3ヘッドを採用したり、
デュアルキャプスタン構造にしたりしました。

これが、本機がラジカセのような
構造になってしまったのは、
我慢がならない人もいるでしょう。

 

でも使える限られた部品で、
できるだけ安定した動きと耐久性を求めると、
W-1200のようになってしまうのでしょう。

TEACに取って一番避けたいのは、
故障が多くて使い物にならないと言う、
ユーザーの批判的な意見でしょうから。

 

音質にこだわりたいのは、
メーカーとしてヤマヤマでしょうが、

まずは安定した動作をさせることが、
最大の使命であるに違いありません。

 

その点をクリアしているのは、
さすが名門TEACの技術で、結果
ユーザーの評価もまずまずです。

テープが絡んだりしてトラブルを招きやすい、
オートリバース機構を採用しなかったのも
当然だと言えるでしょう。

 

そもそも、今後積極的に、
カセットを使い録音するユーザーは
少ないだろうと思います。

過去の遺産である録音テープの音を、
どれほど確実に再現するかに
設計を特化させたた方が賢明なはず。

 

そう言う点から見れば、
本機は的を射た商品ですね。




 

ノイズリダクション機能であるドルビーも、
すでに部品が供給されていない状況の下、
自社の技術で代替化したのもさすがですね。

TEACの技術なら、
かつての高級機の作りやメカニズムも、
やろうと思えばできるでしょう。

 

しかし、そうすれば
コストアップはまぬがれず、

過去の高級機以上の価格になっては、
売れないのは想像が付きそうなもの。

 

しかも現代の機器らしく、
デジタルやワイヤレスリモコンにも
対応しないといけません。

 

それをできるだけ低価格で、なおかつ
オーディオ的動作安定性や音質を確保したのが、
TEAC W-1200だと思うのです。

 

ワウフラッターが大きいなど、かつての
エントリークラス並みの性能であっても、

実際それを耳にしたところで、
なかなか判別できるものではありません。

 

現代に必要な音質と機能を揃え、
この価格に抑えたTEACの製品作りに、
頭が下がる思いですね。

いずれにせよ、カセットテープに
今でもこだわるオーディオファン待望の、
コンポと断言して良いでしょう。

 

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または

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