昔は本格的に音楽を聴くスタイルとして、アンプを中心に、CDプレーヤーやレコードプレーヤーを使い、スピーカーで鳴らすのが主流でした。
しかし現代はオーディオのパーソナル化が進み、ヘッドホンやイヤホンで楽しむ姿が増えています。
そしてBluetoothの技術が開発されると、またたく間に、それをワイヤレスで聴くのが当たり前になりましたね。
しかも耳に掛けるのが負担にならない、インナーイヤー型ワイヤレスイヤホンが人気となっています。
その中で今、注目されている1つに、イヤホン専門メーカーSOUNDPEATSの新製品「Air3 Deluxe HS」があります。
注目される理由と言うのが、耳をふさがないインナーイヤー型でありながら、世界で初めてハイレゾ音楽再生を可能にしたワイヤレスイヤホンであると言うこと。
今回このモデルを手に入れることができたので、その音質と使い心地について、レビュー評価してみたいと思います。
SOUNDPEATS Air3 Deluxe HSは1万円以下ながら高級感あふれるモデルだ
Air3 Deluxe HSは1万円以下の価格で買うことができる、エントリークラスのワイヤレスイヤホンです。
ですが外箱は決して安っぽい作りではなく、振ると軽いものの、しっかりとしています。
中を開けると、まぁ可愛いタマゴのような本体ケースが現れました。
私のイヤホンはホワイトカラーで、表面がマット仕上げとなっており、とても高級感のある肌触りです。
本機にはホワイトのほかブラックもありますが、こちらのケースは艶のある仕上げで、実際に手にした人によれば、指紋が付きやすいんだそうです。
本機とプレーヤーとなるスマホとは、Bluetoothでつながるので、最初にペアリングを行わないといけません。
本機のケースのフタを開け、そのまま中央のボタンを3秒長押しすると、インジケーターが点滅するようになります。
あとスマホ側のBluetoothを有効にして、本機の名前が表れたらそれをタップし、簡単にペアリングは終了です。
その後は本機を使用する時には、フタを開ければ自動的に接続されるようになり、同時に本体もスイッチONになります。
フタが開く角度は90度と広くはありません。
そのため、本体はマグネットで固定されているだけなのに、簡単にケースから取り出しにくい。
私は特に指が太いので、つまみ出すのが大変です。
できることならば、フタは180度くらい開いてくれたら有難いですね。
ケースから出てきた本体は、ケースと同じマット仕上げされていて、これもなかなかの高級感を感じさせてくれます。
本体のデザインは振動板部から下へ20㎜ほど伸びた、いわゆる通称 “うどん型” と呼ばれるもの。
インナーイヤー型イヤホンは、小さ過ぎて紛失しやすいと良く言われますが、本機の場合、この “うどん型” デザインのおかげで、容易に紛失してしまうことはなさそうです。
付属品に付いて言うと、まずは充電用ケーブルがあります。
ケーブルはやや短くて使いづらいところがありますが、端子の一方はUSB-Cなので、もっと長い汎用品を使えばこと足りるでしょう。
AC100V電源から給電するためのアダプターは、付いてはいません。
取扱説明書は日本語ページもあり、特に不便は感じませんね。
それから本機には、音質等をカスタマイズできるアプリがあるので、そのダウロード元を解説するガイド冊子もあります。
さらに、取説を読んでも内容を把握できない人のために、メーカーからアプリのダウンロードのしかたと、本体の使い方を説明した動画が提供されています。
あなたが本機の購入を検討しているなら、こちらもご覧になっておくと良いでしょう。
さて、本機の耳への装着感ですが、これがとても良い。
カナル型のように、振動板部を耳の奥に押し込むのではなく、穴の入り口にちょこんと引っ掛けるもので、重さも1ヶ4gしかないことでとても開放的です。
私はこれまでイヤホンも使ってはいましたが、カナル型で閉塞感があるため、長時間の使用では苦痛を感じていました。
それと比べてAir3 Deluxe HSは、何も苦痛はありません。
その代わり外部の音は容赦なく入ってくるので、本来聞こえるべき音楽再生の妨げになるのでは、と気になるところです。
また、本機単体でのバッテリー持続時間は約5時間。
可もなく不可もなしと言ったところですが、ケースは300mAhのバッテリー容量があるので、気にはなりません。
ケース込みでの持続時間は、最大20時間可能となっています。
SOUNDPEATS Air3 Deluxe HSはインナーイヤー型として申し分ない音質
今回、Air3 Deluxe HSで実際にスマホの音源を聴いてみた第一印象は、「音質的にはこれで十分ではないか?」と言うこと。
何も手を加えていないデフォルトの状態でも、低音から高音まで解像度は高いし、心地良く音が聞こえるんですね。
ただ音源によっては、カスタマイズしないと迫力が足りない場合があるので、そんな時はアプリを活用すると良いと思います。
本機に提供されているアプリは割とシンプルで、操作はカンタンです。
1.のトップページを開くと本機の写真が登場して、左右別々に現在のバッテリー残量が表示されます。
左下にあるアイコンをクリックすれば、2.のカスタマイズページに移行。
3.でワンタッチでシンプルに音質を変えたり、4.で10連イコライザーを使い細かい音作りが可能です。
私はジャズが好きなので、ベースやハイハットを強調したい時は、低音と高音スライダーを上げますが、ボーカルが好きな人は中音のスライダーを上げると良いでしょう。
イコライザーで低音を強調させると、カナル型と変わらない重低音を聴けるようになり、なかなかゴキゲンな気分になりますよ。
本機は、SONYが開発したLDAC規格でハイレゾを楽しむことが可能です。
ただし私のスマホはiPhoneなので、下位規格のAACでしか対応していません。
LDACのハイレゾ音源を楽しみたい人は、Androidスマホを使う必要があります。
で、AACでハイレゾを聴いてみたのですが、正直言ってその違いが分かりませんでした。
と言うか別にハイレゾ音源でなくても、高音質で録音された普通の音源なら、申し分のない音質で再生されるんです。
ドンシャリな、無理に低音や高音を強調した音ではないですが、どの音域も高解像度で再生されるので、長時間聴いても疲れることがありません。
加えて耳を圧迫しない掛け心地と相まって、ずっと聴き続けていても、装着していることを忘れてしまうような感覚がありますね。
とは言え、耳を刺激する強烈な音圧を再現することは、本機では不可能です。
もしあなたがドスドスした重低音や、シャキーンとした張りのある高音を求めるのなら、ワイヤレスイヤホンを探すのではなく、密閉型の大型ヘッドホンを検討するべきです。
しかし、1万円以下の予算内で耳に心地良く、ずっと音楽を聴いていられるイヤホンを求めるなら、本機を選んで後悔することはないでしょう。
SOUNDPEATS Air3 Deluxe HSの評価・まとめ
これまで私はスピーカー以外で音楽を聴くのなら、大型の振動板を持つ密閉型ヘッドホンでなければ、オーディオコンポらしい音質で再生できないと考えていました。
それは基本的には、今でも変わりはありません。
しかしヘッドホンは閉塞感のある着け心地で、また耳に刺激的な音であることから、長時間の使用には向いていないと言うところがあります。
ところがこのAir3 Deluxe HSは、その概念を打ち消すかのような開放的な装着感で、1日中着けていても耳が痛くならないほど快適です。
また音漏れがしやすいオープンエア構造でありながら、しっかりと腰のある重低音から、伸びのある高音の再生力に驚きを覚えます。
低音の響きは、密閉性のあるカナル型と同等と言って良いでしょう。
本機の特徴であるLDACに対応したハイレゾの再生能力は、残念ながら私は体感できませんでしたが、そもそもハイレゾでなくても十分Hi-Fiな音だと評価できます。
さすがに密閉型の大型ヘッドホンのような、ガツンと来る音圧や立体感はありませんが、この心地良い装着感なら、これらの音質と相殺できるのではないでしょうか。
総合的に見て本機をおすすめできる人は、じっくり音そのものを聴き入るよりも、気軽に長時間音楽に浸りたい人です。
また長時間使っても疲れない長所を生かして、ビジネスでweb会議などの機会が多い人にも向いているでしょう。
本体に内蔵の計4つのマイクがなかなかの高性能で、モニターの向こうの相手にも、クリアに音声を伝える能力を持っていますからね。
Bluetooth5.2の威力もあってか、自宅ならそのまま隣の部屋に行っても、全然通信が途絶えないのも本機の魅力の1つと言えるに違いありません。
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