純粋な音だけを追求したいオーディオファンに向け、
昔から基本を変えずに
コンポを作り続けている老舗メーカーがあります。
ヤマハも、その1つのメーカーですね。
横幅が435mmあるフルサイズアンプにしても、
ずっとデザインコンセプトを変えず、
一目でヤマハの製品と分かるんですよね。
音質も一貫しており、グレードを問わず、
スッキリとナチュラルな音作りに伝統を感じます。
今回は、ヤマハのプリメインアンプの中でも、
中堅グレードの「A-S801」を、
ユーザーレビューを軸に音質評価したいと思います。
ヤマハ A-S801はどんなプリメインアンプ?A-S501との違いは?
A-S801には、同じシリーズで
A-S501とA-S301があり、
このA-S801が一番の兄貴分です。
新発売されたのが2014年10月ですから、
結構なロングセラー機と言えるでしょう。
前述のように、ヤマハは昔から一貫した
デザイン・音作りがなされているので、
つい最近発売されたものでなくても、
全然古めかしさのようなものは感じません。
とは言え、世の中はデジタル時代。
アナログアンプをベースにしながらも、
しっかりデジタル入力に対応し、
レコードのアナログ音源やPCのハイレゾ音源も、
しっかり対応しています。
ここでA-S801がどんなアンプであるか、
すぐ下の弟A-S501との違いで述べてみましょう。
パワーアンプ部の最大出力は、
A-S501が8Ωで85W + 85Wであるのに対し、
A-S801は同100W + 100Wとよりパワフルです。
アンプで重要な電源部も違います。
501の詳細は不明ですが、801は
電源トランスだけで約5㎏もあるものを採用。
この差に両機の音質の差を
感じられることでしょう。
機能に関しては、どちらも光デジタルと
同軸デジタル入力とに対応しています。
ところが801は、さらに
USB入力にも対応しているのです。
つまり801は、USB-DACを
内蔵しているんですね。
PCに集めたハイレゾ音源を、
USBケーブル1本で簡単に入力できる訳です。
基本がアナログアンプでありながら、しっかり
PCオーディオの中核となれるのです。
では、実際の音質はどんなものでしょうか?
すでに愛用している、ユーザーの
皆さんのレビューを集めたのでご覧下さい。
ヤマハ A-S801のユーザーレビュー
★「ソニーのフロア型スピーカーに使ったが、しっかり鳴る。この価格でこれだけ鳴るのに驚いた。この価格の何倍もして、雑誌でもてはやされているアンプも使ったりしたが、どうセッティングしても、低音だけでなく高音まで鳴らしきれなかった。DACの性能も、この価格なら十分だ!専用ドライバーが必要なのが残念だが、PCを使う人は気にならないと思う。」
★「エージングの効果は大で、ひと月ばかりのエージングでかなり音が変わる。当初の薄い感じだったものが、厚み・深みが出てくる。肝心の音はドンシャリ系とは一線を画し、あくまでナチュラル。けれど相応の迫力もあり、実に嫌味のないいい音を聞かせてくれる。とにかく上品なサウンドである。低音が足りない人には、サブウーファー端子を用意している。使用せずとも小型ブックシェルフスピーカーでも、十分な低音が出る。(あくまで個人の主観)」
★「綺麗に繊細に伸びる高域。ヤマハ独特の艶のある高音が、とても綺麗に感じる。中音域は薄っすら艶があり、以前使っていたCA-2000で感じた『和風』は健在だなとホッとした。満足。強い低音は結構出るが、出すぎる低音ではない。そのバランスが絶妙で気に入っている。
★「同じYAMAHAのAVアンプからの乗り換え。価格は同程度だが、やはり2ch専用なのでかなり差がある。力強さと3次元的な広がりを感じる。シャープさを損なうことなく、明るいHiFi音だ。オーケストラはソースによってややきつく感じるかも知れないが、エージングで良くなると期待している。」
ヤマハ A-S801の音質評価
A-S801はヤマハとしては中級者以上に向けた、
少しハイクラスのプリメインアンプです。
ヤマハ伝統のスッキリ感のある音と言うか、
真面目な音の味付けがなされていますね。
オーディオ関連のQ&Aサイトを見ていたら、
A-S801についての質問を見つけました。
中を覗くと、低音域を
気にするものがいくつかありました。
「パワーを中域・高域で感じるとのことだが、
低音が不足しているのではないか?」
これは私が販売店で聴いた限りでは、
低音不足は感じられませんでしたね。
決してガンガン鳴るサウンドではないですが、
大人しいなりに低音エネルギーはある印象でした。
ユーザーレビューを見ても、特に
低音不足をうたっているものはありません。
もし自分が低音不足と感じるなら、
サブウーファーを追加すれば良いと言った程度です。
本機は中高域のナチュラル感・スッキリ感が特徴で、
低音の印象が薄いのかも知れませんが、
低音が不足していることはないと思います。
もしあるとすれば、それは再生する
スピーカーの影響ではないでしょうか。
このA-S801はUSB-DACと、
音質劣化する回路をパスする
ピュアダイレクトスイッチを使い、より
純度の高いデジタルサウンドを味わえます。
そのためこのアンプ1台で、
デジタルサウンド(つまりPCオーディオ)から、
独特の臨場感があるレコードの
アナログサウンドまで対応できるのです。
気分によってデジ/アナを切り替えて、
その音質の差を楽しむのも、
現代の趣味のオーディオの姿ではないでしょうか。
傾向としては、迫力そのものよりも
音の忠実さを求める方に向いた
プリメインアンプだと私は思います。
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